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花咲く乙女たちのかげにIプルースト『失われた時を求めて3 花咲く乙女たちのかげにI』(高遠弘美訳、光文社古典新訳文庫、二〇一三年三月二〇日)がやっと刊行された。1と2を読了して、すでに刊行されていた高遠訳『消え去ったアルベルチーヌ』(光文社古典新訳文庫、二〇〇八年五月二〇日)も読み終わっていたため、続刊が俟たれていた。これでしばらく愉しめる。 まだ、読み始めたばかり、本文の一頁目の最初の一文を引用して、高遠訳のタッチを感じていただきたいと思う。 《第一部 スワン夫人のまわりで 初めてノルポワ氏を我が家の晩餐に招こうかという話になったとき、コタール教授[ルビ=せんせい]やスワンさんが同席なさるなら、かつて大使を務めたノルポワさんも面白いと思ってくださるでしょうに、あいにくコタール教授は旅行に出ていらっしゃるし、スワンさんとは私からまったくおつきあいを絶ってしまったのがこうしてみると悔やまれるわねと母が言うと、父は、コタールのように押し出しのいい客で、高名な学者なら晩餐を気まずくするようなことは決してないけれど、スワンは見栄ばかり張って、ほとんど知らないくせに誰それとつきあいがあるなどと吹聴する下品な自惚[ルビ=うぬぼ]れ屋だから、ノルポワ侯爵は、そのお得意の言い回しを借りて言えば、スワンのことを「鼻持ちならない」輩[ルビ=やから]だと思うだろうよと答えた。》 ふう〜、なんとも息の長い文章である。参考までに原文を掲げるが、高遠氏が見事に日本語に転換されていることに改めて唸らされる。 Autour de Mme Swann Ma mère, quand il fut question d'avoir pour la première fois M. de Norpois à dîner, ayant exprimé le regret que le Professeur Cottard fût en voyage et qu'elle-même eût entièrement cessé de fréquenter Swann, car l'un et l'autre eussent sans doute intéressé l'ancien Ambassadeur, mon père répondit qu'un convive éminent, un savant illustre, comme Cottard, ne pouvait jamais mal faire dans un dîner, mais que Swann, avec son ostentation, avec sa manière de crier sur les toits ses moindres relations, était un vulgaire esbroufeur que le Marquis de Norpois eût sans doute trouvé selon son expression, «puant». 本書の「読書ガイド」によれば《Autour de Mme Swann》の「Autour de」をこれまでの和訳「をめぐって」ではなく「のまわりで」としたには深い理由があるようだ。この巻末の解説もかなりマニアックなこだわりに満ちていて一読の価値あり。 『失われた時を求めて1 スワン家のほうへI』 http://sumus.exblog.jp/16055362/ フェルメールを求めて 『失われた時を求めて2 スワン家のほうへII』 http://sumus.exblog.jp/18295503/ ひとつ気付いたこと。『消え去ったアルベルチーヌ』の最後の方に母とヴェネチアへ旅行する話が出ているが、これが、ちょうど同じ頃に読んだためなのだろうか、ツヴァイクの「燃える秘密」(川端芳隆訳『ある心の破滅』角川文庫、一九五四年版より)で母とホテルに泊まった少年が同宿の男爵に抱く感情に振り回される物語とかなり似通っているように感じた。 むろんツヴァイクは、プルーストの繊細な美文からすれば、どちらかと言えばフルート吹き(軽い作家)の気味はあるのだが、かなり面白く書けた小説で、思春期の少年の複雑な心理はうまくとらえている。プルーストの方の少年も母親が帰ると言っているのに「やだ、帰らない」とホテルに居座るのだが、母はさっさと駅へ発ってしまう。少年の心の葛藤が、いくぶんイラッとさせられるくらい緻密に描かれている。ツヴァイクの作は一九一一年発表だからおよそ十年先行するわけだが、共通するものを見ないわけにはいかないように思った。
by sumus_co
| 2013-03-18 20:25
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