
『アート・トップ』33号(芸術新聞社、一九七六年四月一日)、「現代日本の実力画家(3)佐野繁次郎」が掲載されている。大判のカラー図版十二点、モノクロ十三点、装幀本、記録写真を掲載。ちょっとした図録のおもむきあり。これは早くから架蔵していたが、最近また一冊入手した。

佐野繁次郎の他にもいろいろ記事があり、内容はかなり濃いなと感心するのだがなかでは連載「画学生24時間密着取材レポート」の第四回が貴重。大森駅前で焼き芋を売って生計を立てながら絵を描いているという宮沢佐一さんを紹介しているなかに《銀座の画廊にて》と説明されている写真があった。そして、そこに写っているのはなんと洲之内徹の現代画廊なのだ。

現代画廊とはどこにも書かれていないが、もちろん、宮沢さんが絵を見せているのはどう見ても洲之内その人に違いない。『気まぐれ美術館展』の図録に載っている画廊の写真を調べてみると、椅子がそっくり同じである。大森界隈で焼き芋を売っているのなら、大森に長らく住んでいた洲之内とはそこで知り合ったとも考えられるが、宮沢さんは長谷川利行が好きらしいから、現代画廊をわざわざ訪ねたのかもしれない。黒ずくめの洲之内は若々しく見える。一九七六年なら六十三歳になるわけだ。雑誌というのは、こういうオマケが嬉しいのである。