何必館・京都現代美術館で開かれている「あさき夢見し 上野憲男展」を見る。上野さんは一九三二年北海道天塩町生まれ。今年で八十一歳になられるが、まったくそんな枯れた風ではない。はつらつとしておられる。一昨年の十月に上野さんのアトリエを訪問した。そのときが初対面だったにもかかわらす、ひじょうにフランクにもてなしてくださった。あの大きなアトリエと住宅を囲む雑木林の深い緑は忘れられない。そういう環境も大いに上野作品に投影されているように思う。そのときに拝見した作品が今回展示されている。美術館の空間に置かれると、また作品の密度が高まっているようにも感じた(現存の非具象系ではもっとも好きな作家です)。
上野憲男さん訪問
http://sumus.exblog.jp/16483307/
本日はサイン会だったので(17日にもあります!)図録にサインを頂戴する。ポスカの三色(黒・青・赤)を使い分けて絵入りで丁寧にサインしておられるのを列を作って待っている人々が眺めている。ちょっとした幾何図が出来上がってサインが終わると拍手が起きた。
余談をひとつ。何必館の手前、花見小路と四条通りの交差点付近で鼻を衝く異臭が漂っていた。観光客もかなり多かったが、誰もあまり気に留めていないようだ。しかし一体全体どうしたのだろうか。まさかこの市中で下水道が完備していないということが考えられるのだろうか(京都なら考えられる!)。いぶかりながら美術館へ。一〜三階まで気持ちよく絵を見ながら五階の展示室(吹き抜けになっていて上の写真ような庭がしつらえられている)に入るエレベーターを降りると、なんとこの五階にまでも、そこはかとなき異臭の残香(?)がただよっていた。天井に開いている楕円形の空を見上げると、細かい雪がはらはらと落ちかかってきた。文字通り「風流」な建物である。