
尚学堂さんでの収穫を一冊。『京名所三日案内』(美術月報社、一九一五年一一月五日)。発行所の住所は京都市下京区古門前大和大路東入元町三百五十八番地、印刷所は「四日市印刷所」で住所は京都市下京区三条通麩屋町西入弁慶石町四番戸。三条通りは印刷・出版街であったようだ。以前紹介した
点林堂印刷所や
日本写真印刷も三条通りにあったことで分る。
タテ12.5cm、ヨコ6.5cmと掌サイズでポケットにもスッと収まる。三日でどう京都を巡るかというと
《第一日 御所を中心として其付近の社寺名所より岡崎公園大典記念博覧会に及ぶ
第二日 円山公園より洛東の名所を探り伏見桃山御陵に参拝して宇治に遊ぶ
第三日 加茂下上の両社より大徳寺北野天満宮を経て高雄観楓に終る》
そうである。大典記念博覧会は大正四年十一月の大正天皇即位大礼を記念して岡崎公園を中心に開催された。
下は折り込み地図。赤線は「京電」(京都電気鉄道)で大正八年に京都市に買収され市電となった。
京阪電気鉄道は明治四十三年運行開始だが、阪急京都線(京阪神急行)が開業するのはまだまだ先の話である。

この小冊子の後ろ三分の一は白紙ページ、メモ用に使いなさいということで、旧蔵者はこんな地図を残している。

応天門は平安神宮のことだが、1〜3の番号をふられているのは旅館だろうか、飲食店だろうか? 数字は何を意味するのか?
1 津の実 一・一・乙
2 梅屋 二・二・甲
3 安達 三・三
興味は尽きないけれど、判明したところで世の中が変るというほどでもない。
*
以前(二〇〇九年九月四日)このブログで文学保管館(あなたの本や資料を置いておいてあげます館)の提案をした。
京都近代文学館などできるはずもない
http://sumus.exblog.jp/11933680/
否定的なコメントもいただいたが、そのアイデアにかなり近い《蔵書持ち寄り「集合本棚」》というものが構想されていると朝日新聞(二〇一三年二月一一日)に出ていた。発案者は成毛眞さん(マイクロソフト日本法人元社長)。
《蔵書を持ち寄り、オフィスや店舗の空き空間を利用して共同で本を所蔵。持ち主や利用を許可された人は、その場で自由にすべての本を読めるという計画だ。》
《成毛さんはファッションや料理、歴史など、街の特色に合わせた集合と本棚を各地に作れば、事業化も可能だと考える。「会員制にして低料金で利用してもらえば、書店や図書館とは異なる本との出会いの場になるかもしれない」》
考えはまったく同じというわけではないが、持ち寄りと課金の基本アイデアは共通している。管理がしっかりしていれば、十分成り立つ方式だと思う。