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鴨東四時雜詞

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昨日の『都繁昌記』とほぼ同時に求めた写本もついでに紹介しておく。『鴨東四時雜詞』(中島棕隠作の著名な竹枝歌)と題簽にはあるが、それ以外にも中国の漢詩および日本人の漢詩も数多く抜き写している。前半では竹枝歌(もと中国で俚歌=民謡から始まったが、遊里の情景をうたう連作として幕末に流行した)や秋山玉山「春宵観秘戯図引」(本書では「観春宵秘戯図引為木下侯題」)を筆録しており、知恩寺でのエロトロジーを引き摺っている感じ。ただ後半の日本人の部はさまざまなタイトルを気ままに写したように見える。

何かの参考に(何の参考にもならないでしょうけど)日本人の収録作者だけ列挙しておく。勝安房(勝海舟「辛巳晩秋泛船墨江述懐」)、松斎散人、熊谷老泉、米川隆生、島岡鹿国、亀谷省軒、阿満得聞、島尾得庵、藤沢南岳、安積艮斎、岩垣松苗、細川頼之、藤森弘庵、土屋弘、中尾雨山(長尾雨山?)、赤松渡、稲垣簡、相良常長、以上。島岡鹿国の註に《和州人乃余師也》としてある。なかで赤松渡は高松市初代市長・香川県博物館主事で漢詩をよくした人物。大正五年歿。ということで明治末頃の写本ではないかと考える。

『鴨東四時雜詞』を全頁。これも参考まで。虫食いで読めない文字も少々、お許しあれ。元版(百二十首本の初刊は文政九年、天保三年版もあるようだ)は「日本の古本屋」に15,000円前後の値段で何冊も出ている。祇園の春夏秋冬を巧みに歌って、さすがに文字遣いが凝っておりスラスラとは読めそうにもないが、そう堅苦しく考えるほどの内容でもないだろう。頼山陽は

《かの中島文吉(同門)と申す、是は御存じの先年、穢名あり候者、近来、江戸より帰り、『鴨東四時詞』と申す小冊を出し、竹枝六十五首、猥褻瑣細を極め申し候。元来、竹枝と云ふもの、如何の物と云ふ事を知らぬ様に相ひ見へ候。それはともあれ、あの通の名を被りて、また帰郷、誰も取り合はぬ筈のところ、ヤハリ用ゐ申し候者もこれ有り候、世は広きものに候。》(『菅茶山』読書ノート

と中島文吉(棕隠)をこきおろしている。棕隠は京生まれの秀才だったが、何事か京に居られないようなことをしでかして江戸へ下ったそうだ。ふたたび京都に舞い戻ってくるとは…。なお山陽の言う六十五首本『鴨東四時詞』は文化十一年刊である。

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とにかくこれだけきっちりと筆写するのは相当な根気と熱意が必要と思って、感心することしきりである。
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by sumus_co | 2012-11-04 21:46 | 京のお茶漬け
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