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古地図とヤングガン2

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ウィリアムモリスの近くには中村書店がある。これまで何度も取り上げてきた詩書が中心の古書店である。そこで何かと思ったのだが、今回はどうしても詩書には手が出なかった。手ぶらでは店を出ない主義なので一般客向けの文庫棚から引き抜いた一冊がこのマイルズ・ハーベイ『古地図に魅せられた男』(島田三蔵訳、文春文庫、二〇〇一年、デザイン=坂田政則)。

東京滞在中および帰洛の車中で読んでいた。図書館から古い貴重な地図を何百と盗んだ男を追跡する話。古地図の歴史から、古地図のディーラー、図書館員、地図製作会社、古地図コレクター、そして古地図泥棒本人にインタビューを重ねながら地図の魅力というか魔力について叙述する。興味深い内容なのだが、ただ、あまりに凝りすぎた構成が面白さをかなり削いでいるという感じがした。

いろいろメモしておきたいことはあるが、ここでは西部劇映画「ヤングガン2」を見たことと関連させてパスファインダー(The Pathfinder)と呼ばれた探検家ジョン・チャールズ・フリーモント(John Charles Frémont)のくだりを引用しておこう。フリーモントはアメリカ西部の名を高めるうえで十九世紀の探検家の誰よりも大きく貢献したという。名前の通り父親はフランス人だそうだ。

《パスファインダーは、本当に荒れ地を克服するためには、自分自身がそこで生きのびるだけでなく、それを他人にとって意味があるものにしなければならないということを理解していた。彼の地図ーーふつうは、何度かの任務に彼と同行した、才能豊かな地図作成者チャールズ・プロイスとともに下図を描いた。あるいはプロイスが下図を描いたーーは、アメリカ史上最大の移住をあおる手助けをした。なかでももっとも著名なプロイスとフリーモントの地図は、一八四五年の『ロッキー山脈への探査旅行の報告』とともに出版されたのである。》

『ロッキー山脈…』の原題は『The Exploring Expedition to the Rocky Mountains in the Year 1842, and to Oregon and North California in the years 1843-'44. 』(Washington: Gales and Seaton. 1845.)。なんと、要するに地図と案内書が「ゴー・ウエスト!」の大移動を引き起こした。「地球の歩き方」ならぬ「西部の歩き方」のおかげで西部開拓は進んだのだ。

「ヤングガン2」(Young Guns II、ジョフ・マーフィ監督、一九九〇年)はビリー・ザ・キッドとその仲間たちの最期を描いているが、かつて仲間だったパット・ギャレットがビリーたちを追跡する側にまわったためビリーたちは追いつめられて行く。

この映画のほん関係のシーンは、まず、パットが保安官に任命されて出発する前に町の新聞社を訪ねたところ。新聞社といってもごらんのような手動の活版印刷機で記者兼社長のおっさんがシコシコ刷っている。このワンシーンだけなのだが、なかなかそれらしいセットになっている。
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次はダイム・ノヴェル。ビリーに同行していた十四五の少年が狙撃されて命を失う。少年の荷物のなかにはビー玉やビリーの記事の載った『Beadle's New York Dime Library』が入っていた。
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ダイム・ノヴェルはアメリカで十九世紀後半から二十世紀初めにかけて人気のあった大衆読物。先鞭をつけたとされるビードル・アンド・アダムズ(Beadle & Adam's)社の「Beadle's Dime Novel」シリーズは一八六〇年に刊行が始まった。実話とフィクションを織り交ぜたストーリーが大いに受けたようだ。ビリーは一八五九年生まれで八一年歿(この映画では二十世紀まで生きながらえたことになっているが)、ちょうどかっこうのテーマになった。ここに登場しているダイム・ライブラリーも実物があるのだろう。

〇〇王子はこのころから使われていたのか(笑)。
by sumus_co | 2012-10-19 21:09 | ほんのシネマ
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