林蘊蓄斎の文画な日々
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パーマネント・バケーション

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ジム・ジャームッシュ監督の「パーマネント・バケーション Permanent Vacation」(1980)を見た。幼稚な映画だなと思ったら、ニューヨーク大学大学院映画学科の卒業制作だった。ジャームッシュの処女作である。それでも、幼稚は幼稚なりに見所もあり、四年後の「ストレンジャー・ザン・パラダイス」へ真っすぐつながっていると言えるだろう。

まったくの世捨て人状態(それがすなわちパーマネント・バケーション)の若者パーカーが自動車をかっぱらった金でパリへ行こうとする、それだけのお話。

パーカーの愛読書はロートレアモン『マルドロールの歌』である。同棲している女の前でその一節を読み上げる。たぶん露地で出会った幼い少女をズタズタにする描写だったような気がするのだが、メモしなかったので間違っているかもしれない。

《ふとした気の迷いで、おまえの腕をひっとらえ、洗たく物をしぼるようにねじあげるかもしれぬ。あるいは、二本の枯枝のように、ばりばりと腕をへし折って、否応なしにおまえに食べさせないとも限らない。また、優しく愛撫するふりをして、お前の頭を両手に抱いて、渇えた指をその無垢な脳葉に突込んで、唇にうすら笑いを浮かべながら、一生涯、永遠の不眠症に痛んでいるぼくの眼を、洗うと特に効めのある、脳みそを引ずり出すかも知れないぜ。あるいはまた、一本の針でおまえの瞼を縫いあわせ、世界の風景をうばい去り、自分の途を見出すこともできなくしちまうかもしれぬ。だからって、お前の道案内をぼくがするわけじゃないよ。あるいは、鉄の腕でおまえの男を知らぬ肉体をもちあげ、足をつかみ、石打玩具のようにぼくのまわりをぐるぐる廻し、最後の円周を描くときに、力まかせに壁にむかって投げつけるかも分らない。血の滴くは、いっせいに人間の胸にとびちり、ぼくの悪業の一例を人間どもの眼につきつけ、奴らを恐怖させるだろう。》(栗田勇訳、現代思潮社、一九六七年版)

朗読を聞いた女は男が窓の外を眺めている間に該当ページをそっと破り取ってしまう。
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『マルドロールの歌』は明らかにマルキ・ド・サドを意識している。想像力の限界を押し広げた感じである。サドの作品とともにシュルレリスム運動に大きな刺激を与えたのも頷ける。

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シュルレアリスムといえば「ミシンと洋傘との手術台のうえの不意の出逢いのように美しい!」というあまりにも有名なフレーズも『マルドロールの歌』から取られている。ヴィヴィエンヌ街とコルベール街の交差点で見かけた少年の描写のなかに現れる。

《彼は肉食猛禽の爪の牽縮性のように美しい、あるいはさらに、後頭部の柔らかな部分の傷口の定かならぬ筋肉運動のように、あるいはむしろ、あの永久の鼠取り機、動物が捕えられる度毎にいつでも仕掛け直され、一台で無数の齧歯類の動物を捕えることができる、藁の下にかくされていても機能を発揮することのできるあの機械のように、そしてなによりも、ミシンと洋傘との手術台のうえの不意の出逢いのように美しい! メルヴァン、このブロンドのイギリス女の息子は、剣術の授業を先生のところで受けてきたところだ。》

《; ou plutôt, comme ce piège à rats perpétuel, toujours retendu par l'animal pris, qui peut prendre seul des rongeurs indéfiniment, et fonctionner même caché sous la paille ; et surtout, comme la rencontre fortuite sur un table de dissection d'une machine à coudre et d'un parapluie ! Mervyn, ce fils de la blonde Angleterre, vient de prendre chez son professeur une leçon d'escrime, et enveloppé dans son tartan écossais, il retourne chez ses parents.》

『マルドロールの歌』は「第一の歌」だけが一八六八年に無記名で出版された後、「第六の歌」までをラクロワから一八七〇年に刊行するはずだったのが、戦争のために見本が数冊できただけに終わったという。見本を手にしたロートレアモン(本名イジドール・デュカス)は急死。一八七四年にベルギーから刊行されたが(この頃、やばい書物はたいていベルギーで出版された)、それも埋もれてしまい、一八九〇年になってジュノンソオという版元から出版された。それがグールモンの目に留まり、ようやくにして陽の目を見た。

引用した原文は『LES CHANTS DE MALDOROR』(Éditions Jean-Claude Lattés, 1987)より。一九九八年にパリのセーヌ河岸の古本屋台で求めた。まだあの頃は古本屋をのぞくというとそのくらいのところが関の山だったなあ…。
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by sumus_co | 2012-09-13 21:38 | ほんのシネマ
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