
海ねこさんの『古本海ねこ古書目録』第五号(二〇一二年九月)が届いた。
前号の内容が素晴らしく濃かったので、今回はどうかな? とわくわくしながら開いてみたが、これがまた四号とはひと味違った濃さを保っている。開巻一ページ目に出ているウィリアム・ニコルソンの『The Square Book of Animals』(1900)は欲しくなる一冊。お値段はなかなかのものだが、アベさんで調べるとコンディションによって相当な値段の開きがあるようだ。そのなかでは穏やかな方に入る。
初山滋や武井武雄の装丁・装画特集や『コドモノクニ』他の絵雑誌特集も見応えありと思うが、『コドモアサヒ』三十冊のページには目をみはった。関東大震災後の大正十二年十一月に大阪朝日新聞社から創刊され『コドモノクニ』に対抗して半額の二十五銭で売り出されたという。
編集兼発行人は赤松静太(作家・土師清二)から大道弘雄(歌人)へ。大阪人脈で古家新、持田卓二、奈良音蔵、村上寛らの参加があり、目次をざっと見ただけでも田村孝之介、樋口富麻呂、平井房人らの関西の画家が筆を執っている。宇崎純一も何度か執筆していることは分っているのだが、はっきり確認できたのは昭和六年五月号のみ。残念ながらこの三十冊のなかにはないようだ。

他に『VAN』(イヴニング・スター社)も十九冊掲載されている。松本竣介のイラスト入りがあれば……と探したが、どういうわけか、そこだけ欠号になっていた、残念。とににかく良い目録だ。
古本海ねこ
http://www.umi-neko.com