
こちらも下鴨での買物。A.J.FINBERG『ENGLISH WATER COLOUR PAINTERS』(The Popular Library of Art)、発行年は記されていないが、序文は一九〇五年一〇月二八日付け。
検索してみると、著者のアレキサンダー・フィンバーグは一八六六年ロンドン生まれ。ランベス美術学校などで学んだ後、『グラフィック』や『イラストレイティド・ロンドン・ニュース』で働き、各種新聞紙のための美術批評家となる。一九〇五年、ジョン・ラスキンによって開始されたターナーの遺作目録を完成させるという仕事を任される。ウォルポール・ソサエティの名誉幹事を努める(一九一一〜二二)。ロンドン大学などで絵画史を講ずる。一九三九年歿。『ENGLISH WATER COLOUR PAINTERS』は一九〇六年刊、フィンバーグの処女作らしい。伝記も含めターナー関係の著書が多く、また水彩画や素描についての本も何冊も著している。

京都河原町丸太町文華堂書店(現存)のレッテルあり。

イギリスの水彩画に関する展覧会はこれまでも日本でも開催されてきたし、
今も島根県立石見美術館で開かれている最中のようだ。フィンバーグも書いているけれど、イギリス人はなぜか水彩画が好きで、画家たちも油彩画よりも水彩画を得意とした者が多かったようである。値段が油絵より安いとか、部屋が狭いので水彩画ぐらいの大きさがちょうどいい、などという理由を挙げているのは、さて、どんなものか?

ターナーは上手すぎる。小生はこの
コットマン(JOHN SELL COTMAN)という水彩画家が好みである。細かいタッチで描き込まないで水彩の色面を重ねることでうまくまとめている。ターナーのようなダイナミックさはまったくないものの、落ち着いた作風が好ましい。色調も渋い。

ラファエル前派の作家も水彩画を描いているが、どうも油彩画とさほど変らない効果を求めていて、それはあまり得策ではないような気がしてしまう。このバーン=ジョーンズもモノクロで見ると油彩と区別がつかないほどだ。好みの問題かもしれないが。
面白いと思ったのはホガースは水彩画を残していないというようなことが書かれていたこと。著者は同じ諷刺漫画家として
トーマス・ローランドソンの水彩画を高く評価しており、「ローランドソンとブレーク」という章立てまでして、図版もブレーク一点に対してローランドソン三点挿入という扱い方である。これは意外な扱いだと思う。善し悪しは別にして。