
朝から断続的に雨が降って、どうなることかと思ったが、午前十時前にはあがっていた。いつもなら日射しがキツくて参ってしまうところを、ちょうどいい曇りぐあい。水気を含んだ緑がまぶしい。ときおり風が吹くとパラパラッとしずくが落ちてくる。

南の端の入口にある会場の配置図を確認して、下右から奥まで行って引き返そうと考える。しかし、これは甘かった。今この写真を見て納得。看板の陰に人だかりができている。この人だかりが今年一番の掘り出しコーナーだったらしい。

スムースランチのメンバーが本部前に集まっている。ここで前記の掘り出しコーナーの話題で盛り上がっている。善行堂氏は五袋も買ったそうだ。集まってくるメンバーのほとんどがそこでなにがしかの良い本を買っていた。
実は今年亡くなられた河野仁昭さんの蔵書が放出されていたらしい。だから詩集がどっさりあったのだという。こんなにまとめて詩集が出ているのは見た事がないとも。しかもそれらの多くは献呈署名入り、なかには著者の手紙まで挟んであるものも少なくなかった。みなさん、よく知ってらっしゃる。
スムースランチの参加者が今日買った一冊を自慢するときに、多くの人が河野氏旧蔵書を取り出していたのが印象的だった。文童社の本も多かったらしい。河野氏手製のコピー本を買っておられる方もいた。
ランチの後、そそくさとその話題の平台へ引き返した。まだまだ詩集が残っていた。あれこれ抜き出しつつ吟味していて、ふと回りを見ると、ランチ参加者がいつのまにか五人六人群がっていた。あんたも、すきねえ…という感じである。ちょうどそのころ頭上でゴロゴロと雷鳴がとどろき始めた。空が暗くなってきた。もう来るか、今来るか、と思いながら本を選び続ける。さすがにお店の人たちがビニールシートを掛け始めた。すると、いきなりバラバラっときた。みるみる土砂降りに。あたりはすっかり黄昏時のようになった。

折りたたみ傘を持参していたので濡れはしなかったが、あまりに雨脚が強いのでしばし古い屋敷の軒下で雨宿りをさせてもらった。ここまで降られたのは初めてのような気がする。