
あるインド料理店の前の木彫人形。三宮駅前。
台風接近中なれど神戸に向かう。正午頃までは雨もそう強くはなかった。電車のなかでの出来事。阪急電車は四人がけシート(二人ずつ対向の)が連結部分手前の通路の左右に配置されている。その一席を占めた。真向かいは携帯メールに夢中の美人のお姉さん。その隣、窓側に薄紫のサングラスをかけたお兄さん。携帯電話を二つ操っている。鞄からもう一つピンクの携帯も取り出して三つを使って次々とメールしている。さらには窓枠にスマートフォンも置いてある。
われわれのシートと通路を挟んで並ぶ四人がけシートに三十代くらいの夫婦とたぶん妻の父親らしい三人連れが座っていた。夫が電話をかけていた。「司法解剖はもうすんだ」とか「あと二十分くらいで」とか話している。話が終わらないうちに妻の父親が携帯を取り出して誰かに電話しはじめた。「ああ、わしや、今どこそこや…」。けっこう野太い声だった。美人のお姉さんが眉をひそめてチラリとそちらの席を見やった。そのときだ。サングラスのお兄さんが鋭い声を出した。
「おい、われ!」
一瞬、場が凍りついた。ひと呼吸おいてさらに
「おっさん、お前もや、ええ年こいて!」
ビックリはしたが、うん、おっしゃる通りと内心同感。とっさに美人のお姉さんの表情をうかがうと、ぎょっと一瞬眉を動かしたけれども、そのままメールを続けている。周辺の乗客はなんとなく気まずい感じではあったが、小生も含め、何事もなかったように装っている。怒鳴られた親子三人だけは固まってしまった(むろんケイタイはすぐに仕舞ったが)。
さて、それから十分足らずで次の駅に着いた。親子三人はそこで降りるために席を立った。ドアのところまで行ったとき、娘が大声でこう言い放った。
「ええ年こいて、すいませんでした!」
車両中に響き渡った、と思うとドアはシューッと閉まった。サングラスのお兄さんは顔をちょっと上げたかもしれないが、注意を払ったふうでもなかった。何しろ携帯三つで忙しいのだ。

さすがに来場者は少なかった。けれどもゼロではなかった。そのうち雨が少しずつ強くなり風も出て来た。街の草さんと風羅堂さんが組合の市場の日だといって立ち寄ってくれた。街の草さんはコラージュがいいねえと褒めてくれて、自分でもやってみようと言っていた。以前、フロッタージュのような作品をもらったことがあるが、街の草さんの造形センスはとてもいいから、ぜひいろいろ作ってみて欲しい。つぶしの古本は毎日のように出る…材料には困らないだろうし。
雨風さらに強くなったため早退。もし留守のときに来てくださった方がおられたら申し訳ないです。