
分厚い『松本竣介展 生誕100年』図録(NHK、二〇一二年)が届いた。初めて見る珍しい作品がたくさん載っている。日本の美術展の図録もやっとポンピドゥーの図録くらいのレベルには達したようだ。
絵もむろん大好きだが、松本竣介は文筆活動もし、『雑記帳』という雑誌も編集し、装幀もいろいろと手がけている。その方面への気配りもきちんとなされているのが評価できる。装幀の図版が掲載されている頁のなかで
小川未明の『僕の通るみち』(南北書園、一九四七年)だけは未見だ。目下のところネット上にも出ていない。これは欲しい本だなあ。
林芙美子『一粒の葡萄』(南北書園、一九四七年)などは架蔵。島根県美のキュレーター柳原一徳さん(みずのわ出版社主と同姓同名!)が「ブッキッシュな竣介像」という論考を執筆しておられる。その註に小生の名前も出てくる。ごくわずかだが拙文も役に立ったようである。

下は難波田龍起に宛てた絵葉書のいくつか。二科展出品の自作絵葉書を使用している。この絵葉書、欲しい(欲しいを連発していますが)。そう言えば扉野君がフイと見つけたことがあった。

次は実家の松江に疎開していた妻子に送った手紙など。禎子夫人が昨年末に亡くなられたということもあって、これらが陳列されているのだろうか。丁寧なペン書きの文字に人柄がにじむ。

竣介の撮った写真はたしか『太陽』に発表されたことがあった。今回は多数出品されているらしい。写真それ自体を作品としてというより絵画の素材として撮っているようだ。

いよいよ見たい展覧会である。世田谷美術館へ巡回するのは十一月二十三日から…か。