某氏より『ことばあそび 西坂廣志句帖』(書肆端溪社、一九八九年九月二三日)二冊を頂戴した。著者五十五歳にちなみ五十五部発行、奥付は二冊とも同じ。端溪社は大岡頌司が経営していた個人出版社だそうだ。大岡については内堀弘さんが「
前衛俳句の個人出版社ーー大岡頌司にとって書物は作品であったに違いない」という図書新聞にいい文章を書き残してくれている。
それはそれとして、驚いたのは、西坂廣志さんとは風来舎の伊原秀夫さんを通して何度もお会いしたことがあるし、手紙もよくもらった。三人で一緒に句集を作ろうという話まで出ていたのだが、これは実現しなかった。その頃の句集『醒巫譚 : あるいはあとのまつり : 雨巫菴亞彦句帳』(風來舎、一九九五年一二月)は『ARE』の読書亡羊特集で取り上げた。『人名録 : 西坂廣志句稿』(一九九〇年四月)も架蔵していると思う。しかしそれ以前の句集は部数が部数だけに拝見する機会さえなかったので嬉しい。最近はまったく音信不通になっている。お元気だろうか。句集をくださった某氏はむろんそんなことはご存知なかった。奇遇というほかない。
端溪社の出版書目[国会図書館と日本の古本屋による]
夏の月 高橋千恵子 1993
韻 佐野千遊 1993
星の童女 郡山やゑ子 1992 小熊座叢書16
鶴 上田多津子 1991 一字標題叢書2
畫夜 桑原三郎句集 1990
繪皿 靑野三重子 1990
ことばあそび 西坂廣志 1989 書肆端溪社
山繭 若森京子 1989
幌 栗林千津 1988
勿来 大岡頌司 1988
桃源 松岡貞子 1986
稱郷遁花 大岡頌司 1986
夏至殺法 阿部鬼九男 1985
最上船和讃 高橋龍 1984
水上彌撒 中北綾子 1984
異界 坂戸淳夫 1984
換鵞集 端渓社開創十周年記念句集 1984
繍 若森京子 1983
潮海 佐藤鬼房 1983
夜光虫 野口夏桐 1982 野火叢書41集
霊果 安井浩司 1982
艸衣集 坂戸淳夫 1981
延年 松浦いさを 1981
花見干潟 大岡頌司 1981
天秤宮 阿部鬼九男 1980
朝の日 佐藤鬼房 1980
湖北日記 大岡頌司 1980
壽林 永野孫柳 1979
宝珠花街道 大岡頌司 1979
密母集 安井浩司 1979
綾垣 佐藤三保子 1978
鳥の音 太田紫苑 1978
朱夏集 酒井弘司 1978
泥眼 高山夕美 1977
藤 澁谷道 1977
雷鳥譜 高橋晶子 1977
灰毒散 毛呂篤 1977
轉號 毛呂篤 1976
望樓 保科その子 1976
野 間庭とよ子 1976
悪尉 毛呂篤 1975
山上祭礼 中北綾子 1975
塩 小山清峯 1975
微涼 山口蓼雨 1975
一束の冬菜 尾利出静一 1975
草上船和讃 高橋竜 1974
阿父学 安井宏司 1974
真神 三橋敏雄 1973
前略十年 高柳重信 1973
抱艫長女 大岡頌司 1973
この目でおがむ 毛呂篤の本いろいろ