
映画「Emma エマ」 (ダグラス・マクグラス監督、一九九六年)を見ていると可愛い書斎が登場したのであわてて写真に撮った。「エマ Emma」はジェーン・オースティン(Jane Austen)の長編小説で、一八一五年に書き上げられた作品。日本で言えば文化十五年、「南総里見八犬伝」がその前年から刊行されはじめた時代である。
その原作を映画化したもの。主演はグウィネス・パルトロウ。この二年後に『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー賞主演女優賞などを受賞しているから、この作品はその栄光の下地を作ったかもしれない(アメリカ人なのだが英国語が上手)。原作は読んでいないが、あらすじを見るとほぼ忠実に映画化されているようである。ま、ようするに恋愛と階級意識と金銭問題の三すくみでジリジリと進めて行き最後はハッピーに終わるというジェーン・オースティンらしいお話。
エマは二十二歳。乳母(ガバネス)に育てられたためかどうか、ちょっと奥手な感じ。引退した父と二人で広壮な屋敷に住んでいる。おせっかいをやいて親友の恋のキューピッド役を務めようとする…。パルトロウは当時二十四歳で、この役回りとしては微妙に老けているのだが、まずは可愛くそつなく演じている。上は父の書斎へ牧師を招いたところ。ピンクでまとめられたファンシーな内装である。
エマが親友とくっつけようとした牧師はエマに求婚して、ふられてしまい、バースへ行ってそこで別の女性と結婚して帰ってくる。その牧師夫妻がエマの家の書斎を訪れたとき、なんと、本棚がドアになっていたので驚いた。

こういうものがあることは渡邊一夫が「ブゥラール氏の蔵書と「架空文庫」」というエッセイに書いてくれていたので知っていた。
《これは仮想文庫(ビブリオテーク・フィクチーヴ)乃至模造文庫(ビブリオテーク・ファクチス)と呼ばれる。つまり、書斎なり客間なりの壁へ書物をならべた絵を描かせるのである。》
が、扉に本棚の絵が描いてあるというのは初めて見たような気がする。ヤフー!フランスで簡単に検索した限り、現在ではビブリオテーク・フィクチーヴ(Bibliothèque fictive)ではなくビブリオテーク・ファクチス(Bibliothèque factice)と呼ばれるようだ。前者ビブリオテーク・フィクチーヴは「空想図書館」の意味の方が強いらしい。
メートル売りされている模造文庫(ニセの書棚)
Bibliothèque murale faux livres
Vente au mètre linéaire