

少し前に求めた短冊を調べていると「おや?」という署名に出会った。「雪佳」と読める。雪佳というと神坂雪佳(1866-1942)しか思い当たらないけれども、先年大きな回顧展もあった雪佳にしては南画ふうの地味な絵柄で画風が違いすぎる。その回顧展も見たはずだが、こういう絵が出ていたかどうか記憶にない。いずれ図録を調べてみよう(いずれがいつになるか分からないが)。ま、とにかく雪佳の略歴を検索してみた。すると
《京都御所警護の武士・神坂吉重の長男として、幕末の京都・栗田口(現・京都市栗田口)に生まれる。1881年(明治14年)、16歳で四条派の日本画家・鈴木瑞彦に師事して絵画を学び、装飾芸術への関心を高めたのちの1890年(明治23年)には図案家・岸光景に師事し、工芸意匠図案を学ぶ。》(ウィキ)
初めは絵を学んだというから、若書きならあり得るか。ただしその師匠とされる鈴木瑞彦の画風が分からない。瑞彦は塩川文麟の弟子だから四条派に連なるものだろう。とすれば南画ふうというわけでもない。この短冊は構図の取り方……うす墨の山を天の際から下へ向かってさっと掃き、樹木を左脇へ寄せておいて、わら家を奥にのぞかせた……は神坂雪佳の琳派ふうのデザイン・センスに通じないとは言えないようにも思う。通じないとは言えないとは歯切れの悪い表現ながら、そういうところでとどめておくのがよろしい。印章は「吉隆」(雪佳の本名)と読めるようにも思えるので、それならなお好都合なのであるが。
雪佳の代表的な作品画像を引用しておく。

芸艸堂 神坂雪佳『百々世草』
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