
篆刻を趣味としておられるFさんより『論語里仁篇印集』(隨風会、二〇一二年三月)を贈られた。隨風会の会員諸氏が論語の里仁篇を分刻している。里仁篇では八「子曰、朝聞道、夕死可矣」(朝[あした]に道を聞きては、夕べに死すとも可なり)がよく知られたフレーズ。また、二五「子曰、徳不孤、必有鄰」の「有鄰」はよく見かける言葉だろう。
Fさんの刻しておられる「悪乎成名」は五「子曰、富与貴、是人之所欲也、不以其道、得之不処也、貧与賤、是人之所悪也、不以其道、得之不去也、君子去仁、悪乎成名、君子無終食之間違仁、造次必於是、顛沛必於是」の中ほどにあるフレーズで「君子、仁を去りて悪(いず)くにか名を成さん」(君子は仁徳をよそにしてどこに名誉を全うできよう=金谷治訳)の「悪(いず)くにか名を成さん」。疑問副詞「いずくんぞ」に使われている「悪」はその音からきており意味は関係ないそうだ。

ハンコが出たところで、いずれ紹介しようと思って撮ってあった京扇子の老舗
白竹堂(中京区麩屋町六角上ル白壁町)の看板を掲げてみる。屋号「白竹堂」は富岡鉄斎が命名したという。むろん鐵齋筆(原本はHPで見られる)。

ここでは印章部分だけをアップしてみた。「富岡百錬」と「神皇旧臣」。『鉄斎研究第七三号 富岡鉄斎用印大成』(清荒神清澄寺、二〇一〇年)を探してみると以下の二顆であろうか。

木彫ではかなり修正されているが、やはり忠実に写して欲しいような気がする。