
東京で高橋輝次さんから見せてもらったのは文庫サイズの石神井書林古書目録第四号だったが、その後、一九八二年から九一年に刊行された同書林目録をまとめて借覧する機会を得た。そのなかで最も古いのが第三号『近代文学古書目録石神井書林・在庫書目第参号』(昭和伍拾漆年霜月=一九八二年一二月、所蔵者某氏による日付スタンプは「57.12.1」)。上の写真のようにA5判。第四号が例外的に文庫サイズだが、十号まではA5判である。十一号以降は縦長(210×115mm)で、とりあえず確認できる二十七号まではこの判型になっている。
ここでは約三十年前に発行されたその第三号の口絵の一部を紹介しておく。

竹中郁『黄蜂と花粉』『象牙海岸』(高祖保宛献署入)、斎藤秀雄『蒼zaメた童貞狂』、岡本潤『夜から朝へ』『罰当たりは生きてゐる』、トルラー『燕の書』、石川善助『亜寒帯』、吉岡実『紡錘形』『静かな家』、平井功編『游牧記』などなど。基本的に最近の石神井さんと変っていない。
ただ、やはり面白いのは値段の変化。現在からは考えられないような値段がついているものもある。例えば寺山修司、『田園に死す』や『われに五月を』の署名本がどちらも一万円代とは……当時の評価の低さを知る。上記のトルラーや斎藤秀雄も高額ではあるが、現在の比ではない。また逆にこの当時の値段より安くなっている作家も見えるようだ。栄枯盛衰は世の常か。
そうそう、もうひとつ大きな違いは雑誌の出品がごく少ないこと。『ユリイカ』や『詩と詩論』が数冊、田村隆一編集の『都市』が目立つ程度。雑誌の地位も上がったものだ。