大丸ミュージアム京都で19日まで「宮沢賢治・詩と絵の宇宙」展が開かれているので、見て来た。賢治の「雨ニモマケズ」の手帳がうやうやしくショーケースに飾られていた(上はチラシの図版より)。
初出品として高村光太郎の手になる「雨ニモマケズ」がショーウィンドウに。
花巻市桜町4丁目羅須地人協会跡に建てられている「雨ニモマケズ」詩碑の原書である。凄い字ではないが、風格を感じさせるぶっきらぼうな書きぶりだと思った。となりに井上有一の書「雨ニモマケズ」が並んでいた。そちらは、まるで絣か何かの格子模様のような作品だった。
『春と修羅』、『注文の多い料理店』の初版本もあったし、有名な賢治の水彩画もあった。自筆原稿かと思ったらカラーコピーの展示だった。自筆では手紙が出ていたか。絶筆の歌の色紙も。
原稿用紙の裏に描かれたミミズクの絵。
それら賢治関連のささやかな展示の他には、画家たちによる賢治作品にインスパイアされた絵画作品がずらり。絵本などでよく見知っているもののあれば、意外な作家の作もあった。
個人的に見られて嬉しかったのは茂田井武の『セロ弾きのゴーシュ』原画。五点(額縁四点、一つの額に二点入っているものあり)出ていて、その細部まで、色調や線の重なりといった印刷では再現されにくい部分もじっくり観察できた。抒情性だけでなく、たしかな描写のセンスもある作家だ。