
絵絣と言えば、だいたい鶴亀、唐草、菊花などおめでたい模様や文字が多いが、これはモダンな花瓶に花を挿した図柄である。わりあい新しい作なのかもしれない。はなびらの散ったところに作者のセンスを感じる。
三年かそれ以上ぶりに歯科医院へ行った。かぶせがポロリと取れたため。先生は久しぶりなのでレントゲンを撮りましょうと言う。レントゲンの撮り方も以前とは違うし、何よりも画像が診療椅子の前に備えられたけっこう大型のディスプレイにくっきりと表示される。歯並びが悪い。
それをじっと見ていた先生は、浮かぬ顔でこう言った。
「どこにも虫歯はないですね…」
患者としてはひと安心だ。この先生には三年以上前に奥歯を抜いてもらったことがある。じつに鮮やかな手並みであった。名手と言っていいだろう。かぶせを取り替えるのなどちょちょいのちょいであった。そんな先生にとっては三年以上来ていない人間に虫歯が一本もないのはかなり心外だったに違いない。もう一度つぶやいた。「虫歯はないですね(おかしいなあ)」
しかし、それで終わったわけではなかった。歯周ポケットに歯垢がたまっています、と。まずは全体の歯垢のおそうじ。やはり三年以上のブランクは大きい。それなりに気をつけて磨いているつもりでも歯垢は積み重なっているようだ。血みどろのお掃除となった。
さらに日をあらためて歯周ポケット掃除にかかる。一度に奥歯三本から。これから何回も通わなければならないし、それなりに費用もかさむ。「歯周病になったら怖いですよ〜」と歯科技工士のお姉さんに脅されたので仕方がない。これがまた、ほとんど力技というか、先の曲がった金属で歯周ポケット(要するに歯茎と歯のすきま)内の歯垢をゴリゴリゴリと削ってゆくだけなのである。幸い痛みはそうでもなかったけれど、思わず肩に力が入って、終わった後はぐったりとなった。ふう。
お姉さんが「歯垢がやわらかくてサクサク取れますね。ものすごく固くて取りにくい歯垢もあるんですよ、人によっては」とほめてくれた。喜ぶべきことなのだろう、ね。