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川柳大大阪 第十一号

川柳大大阪 第十一号_b0081843_19494755.jpg

『川柳大大阪』二の一(大大阪川柳社、一九二五年一月一日、表紙=竹久夢二)。編輯兼発行者は渓花坊こと本田敬之助、大阪市北区老松町三丁目。扉絵が宇崎純一。純一は創刊号から十号まで表紙画を描いていた。瀧克則さんが「宇崎純一ノート」(『spin』06、みずのわ出版)でこう書いておられる。

《翌年、第二巻の表紙は竹久夢二の作が飾る。夢二の大大阪最初の表紙はうなだれた青年の絵だった。その二巻の新年号の中絵を純一が描いている。純一の絵は二、三人の男たちが軽やかに歩いているカットである。夢二と対照的な軽やかな絵である。この夢二と純一の競演は大正ロマンの中心にいた二人の画家の交差を表しているようで貴重である。大胆で絵に入り込む夢二の作に比して、純一の絵は冷めた眼で見た世界を描いている。おそらく何かと夢二と比べられた純一であろうが、純一自身夢二との違いは充分わかっていただろう。純一はあくまで風景の観察者である。夢二の絵からにじみ出るような自己移入はない。そこにみられるのはむしろ冷めきった眼、風景、風物を観察者として眺めてしまう冷ややかな眼だ。そして、それは理知的でもある。》

夢二の表紙、この絵柄は異例であろう。正月号としては明らかに季節が合わない。洋傘を持っているのだから、梅雨時分と考えるべきか。男の着ているものは洋服らしくも見えなくはないが、あるいはパッチと半纏とか、そういった労働着かもしれない。草履履きで、無帽だし、煙草入(だろう)を腰に着けている。ただ夢二式に頭が小さく手足が長く描かれており、写生のリアリティが半減してしまっているのである。「大大阪」のタイトル文字もちょっと変っている。あるいは関東大震災後のスケッチから制作したというふうに考えてもいいかもしれない。

川柳大大阪 第十一号_b0081843_19494061.jpg

対して純一の方は和服と洋服(チャップリン風か)の対比に妙があろう。先日の今和次郎らの調査でもこの時代には男性では洋装の方が多かった(関西では多少違った可能性もあるが)。チャップリン風の男は「もう一軒いきましょ、そこに懇意の店がありますさかい」とでもしゃべっているのかもしれない。和装の男は折り詰めを下げているので帰宅するつもりだろう。

川柳の古書を集めた体験談を語る花岡百樹の「古本物語」が面白く、かつ貴重な古書売買の記録となっている。一般人でも入札で古書を買えるシステムがあったのだ。

《東京では淡路町の酒井好古堂が今の須田町の角辺に古本専門の舗であつた時に多く同店で買ひました。其頃同店では柳樽を尋ねる客は皆無と可謂時代で》

《私が大阪へ移住後の話ですが、或時八幡筋のだるまやの主人木村君が店[酒井好古堂]へ立寄つた時、大阪の柳樽のお客様が貴君のお噂をしたと云つたさうで今日まで私の名は知らないのです》

《アノ頃即二十四五年前は如何かと云ひますと、酒井では何でも柳樽が一冊四銭と定めて置いて、猶外に買物をすると吉原細見の一冊位はお供にして呉れたものです。全体が其位なもので今では百円以上になつて居る西鶴の『世間胸算用』がチヤンと揃つて居て同店で勿驚唯の一円二十銭でした。東京以外の地方でも大方一冊四五銭で買ふ事が出来ました。》

さらに神保町の本屋で柳多留が二尺程の高さで五六十冊縄でからげられていたという。

《値を聞くと皆で二円ですと云ふので一円五十銭にまけろと云つた処が、まけません 其頃はみんな出掛けやうとすると、エヽ宜ろしう御座いますと呼びとめるのが古本屋の呼吸なので後から呼留められる心算で出た処が、呼留ませんので巳むを得ず帰つては見たものゝ残念なので翌日友達を又其店へ買ひにやつた所が、出して置いたのが売れぬので、今朝仲間の市へ出して仕舞つたといふ事でした。》

《平野町の夜店でもボツボツ買ひました。沢の鶴の石崎の前へ一六の夜毎に定店を出す亀さんとか云ふ和本専門の古本屋が私が前へ立つと時々『大将川柳おまつせ』と脇の箱から別にして置いて出してくれました。其他安土町の書籍商組合事務所で毎月開かれた古書交換会でも毎回一二冊位は出るので買ひました。其頃十銭が通り相場と見えて十二三銭に札を入れると大方落ちました。》
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京都市富小路御池南入「楽山荘」の広告。
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by sumus_co | 2012-02-23 20:41 | 宇崎純一資料
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