
ちょっとまとまった量の書類をコピーしようと駅前のTSUTAYAへ出かけた。印刷の質は少し落ちるように思うのだが一枚五円は魅力である。しかしながら、どうもこの時期、コピー人口が急増するらしい。中高年は税金関係のようだし、学生は試験でもあるのだろう。案の定、六十代くらいの男性がコピーを占領している。しかもすぐ斜め後ろで白いニット帽をかぶった女子大生が本を読みながら待っている。数分間、様子をうかがったが、どうもすぐには終わりそうにない。
駅前ロータリーを挟んでTSUTAYAと向かい合っているセブンへ向かう。ところがこちらも女学生らしき女性がコピー機に覆いかぶさるようにしているので、並ぼうかどうしようか迷ったが、しばし駅ビルのブックファーストで時間つぶしをすることにした。ついでに百円均一の店ものぞく。A4のクリヤファイルを買う。およそ三十分ほど経った。もうそろそろいいだろうか、と駅ビルの窓からセブンを見ると、どうやら人影は消えている。階下に降りてTSUTAYAの前を通る。すると、さきほどとまったく同じ光景が見られた。おじさんがコピーしていて、ニット帽の女学生が後ろで待っている。コピーする方もする方だが、待つ方も頑張るな。五円だから、待つ甲斐はあるのだろう。
セブンへたどり着くと一足違いでおばさんに先を越された。何やら金融関係の書類をコピー中だ。しかし、そう時間はかかりそうにない。それでも五分以上あるいは十分くらいは待たされた。そうしていると若い女性が入って来た。チラッとコピー機を見やり、雑誌のラックの前で立ち読みを始めた。おばさんはコピーを終えると「おまちどうさんでした」と挨拶してくれた。
で、コピーを始めるとすぐ後ろに人が立った。これがイヤなんだなあ。でも仕方ない。ここは十円だし、大量コピーはやはりTSUTAYAにしようと思い直し、急ぎのコピーを二枚とデジカメの写真プリント三枚で終わらせる。どうぞと後ろの人に譲ると、さっき雑誌を立ち読みに入ってきた女性である。彼女は手に持った新刊雑誌を機械の上に広げてコピーを始めた。あちゃあ、そういう方法があったか。思わずレジカウンターを見てしまった。忙しそうでそれどころではないようだ。
セブンを出る。寒風が吹きすさんでいる。向かいのTSUTAYAに目をやると、状況はまったく進展しておらず、おじさんがコピーしていて、ニット帽の女学生が後ろで待っていた。