
『
西脇順三郎アーカイヴ開設記念 没後30年 西脇順三郎 大いなる伝統』図録(慶應義塾大学アート・スペース、慶應義塾大学アート・センター、二〇一二年一月一〇日)を頂戴した。新倉俊一によって西脇資料が寄贈されアーカイヴが開設されたそうだ。
新倉氏によるテキスト「J・Nという物語」(初出『文藝春秋』一九八八年一一月号)は西脇の詩的発展を主にその人間関係から説いており、なかなかに興味深い。ロンドン留学時代におけるジョン・コリアとの友情、T・S・エリオットからの影響。コリアとの付き合いは帰国後も続き、西脇の『旅人かへらず』(東京出版、一九四七年)のタイトルはコリアの小説『No Traveller Returns』(The White Owl Press, 1931)からヒントを得ている(というか、そのまま)。元来はシェイクスピアの『ハムレット』の科白、有名な「生きるべきか死すべきか」の第三幕第一場に出てくる、曾て一人の旅人すらも帰って来ぬ国…である。
But that the dread of something after death,
That undiscover'd country from whose bourne
No traveller returns, puzzles the will
And makes us rather bear those ills we have
Than fly to others that we know not of?
ジョン・コリアだけでなく多くの作家がこのタイトルを使っているようだ。さすがシェイクスピアと言わなければならないのか。そして萩原朔太郎との対立、瀧口修造らの教え子たちや荒地の詩人たちとの関係なども語られている。
『瀧口修造の詩的実験 1927-1937』の見本完成パーティにて(一九六七年)。中央西脇順三郎の両隣に吉岡実と瀧口修造。

渡英時のパスポート写真と『SPECTRUM』(Sainsbury at The Cayme Press, 1925)そして左頁はエリオットの詩と並んで西脇の詩が掲載された詩誌『THE CHAPBOOK』(The Poetry Bookshop, 1924)。

「西脇ゼミ」の面々と伊豆湯ヶ島旅行。

西脇がロンドンで一九二三年に購入したエリオットの『THE WASTE LAND』(Hogarth Press, 1923)。先月紹介した
政田岑生による塚本邦雄『小歌集桃夭帖』の書套を思わせる。政田は意識していたのだろうか。

西脇によるエズラ・パウンドの肖像画と肖像写真。パウンドは西脇の英詩を読んでノーベル文学賞に推薦すべきだという手紙を岩崎良三に送って来たという。