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京都市区分地図

京都市区分地図_b0081843_20435864.jpg

「ご興味あるかと思い送ります」というメモが付いて送られて来た。京都の地図。大いに興味あります。ただ、表紙が補修されており、発行年や発行元の情報が失われている。

戦後の地図だろう。まず確かめるのは現・阪急電鉄京都線の名称。これがまだ「京阪神急行」である。昭和十八年十月から四十四年十二月までこの名前で営業していたから、その間のいずれかの時期ということは分かる。そしてその四条大宮と河原町間が開業したのが昭和三十八年六月。この地図では大宮までしか線路は描かれていない。それ以前である。

もう少し絞り込めないかといろいろ点検していると、大宮と西大路四条間にトロリーバスが通っている。「京都市交通図」に国鉄線、会社線、市電、トロリーバス、市バスの区別があって気づいた(地図上にはトロリーバスと明示されていない)。この四条通りのトロリーバスは昭和三十三年に梅津まで延長されたので、ならば、それ以前であろうと推測できる。

京都駅前に京都中央郵便局がある(烏丸通七条下ルの旧庁舎。新庁舎移転は昭和三十六年)。この名称は昭和二十四年から(旧称は七条郵便局)。また工芸繊維大学前というバス停もあって、この大学も昭和二十四年からなので、とりあえず昭和二十四年から三十三年までの間に刊行されたと考えていいだろう。

きっちりと描かれたおもむきのある地図だ。スキャンしなかった右側の頁に同じ地域の町名色分け地図が展開している。全体をざっとめくっていると、町名を茶色のサインペン(?)で囲んでいるところが目についた。おや、北園町ではないか。
京都市区分地図_b0081843_20435026.jpg


京都市区分地図_b0081843_2210074.jpg

旧蔵されていた方は北園町にご縁がおありだったか、はたまた天野忠のファン?
京都市区分地図_b0081843_20433050.jpg

山田稔『北園町九十三番地 天野忠さんのこと』(編集工房ノア、二〇〇〇年一一月一五日二刷、装幀=平野甲賀)より。

《メモ程度の日記によれば、私が初めて天野家を訪問したのは八二年八月三日のことであった。
 前々日、渥美半島に上陸した台風八号が富山へ抜けた後も天候は回復せず、不安定な、もどり梅雨のようなうっとうしさが続いた。その日、他に用事があって街なかに出かけた私は、三時すぎ河原町三条のふたば書房で涸沢純平さんと落ち合った。涸沢さんは以前に『砂漠の椅子』を売ってもらった礼を述べにその書店に立ち寄ったのだそうである。
 タクシーで北園町のバス停のところまで行った。そこからは直ぐである。三月に最初の偵察をおこなって以来、私は天野家の前を何度か通っている。右どなりの古い家の、黒く煤けた表札に「辻田右左男」と出ているのを発見して驚いたこともある。中学(府立京都一中)で地理を習った先生で、後に奈良女子大に移ったと聞いていた。もう故人のはずだが、表札はそのままになっている。》

『砂漠の椅子』は大野新の詩論集のタイトル。なお辻田右左男の生没年は1907-1997ということなので、一九八二年には存命だった。

《表通りに面した小さな冠木門の前に立った。横長の門灯に平仮名で「あまの」と書かれているのをながめた。門のところからのびる路地の奥はしんと静まりかえっている。いよいよ「動物園の珍しい動物」を見物する、期待と緊張の一瞬である。ベルを押し、たがいに先を譲り合うようにしながら格子戸を開けて中に入った。》

情景が目に浮かぶようだ。つづきは『北園町九十三番地』をどうぞ…。
by sumus_co | 2012-01-30 20:44 | 京のお茶漬け
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