
『舒菴詩鈔』(栖碧山荘、一九七八年四月八日)。井上舒菴の漢詩集。編輯は麻生一雄、発行人は井上章、一周忌にあわせて編まれたもの。「後序」によれば舒菴は土屋竹雨に師事し漢詩文芸雑誌『言永』発刊に参画、竹雨歿後はその経営・編輯に精魂を傾けた。ネット上には《井上舒庵(1900 ~1977)東大法科を卒業後、鉄道省に奉職し、退職後は交通博物館長に就任。南画を日下部道寿に学び、詩は土屋竹雨に学ぶ》と出ている。
新春にちなんで二首ほど引用してみる。一首目、乙巳は昭和四十年。歌会始の勅題「鳥」を賦した。四方の風にのり青空をわがものとしているのにどうして鳥かごの美味しい餌を求めるだろうか…。二首目、典墳は古書。三余は読書に適した余暇(冬は年の余り,夜は日の余り,雨は時の余り)。四裘葛は一年間の意。古希までわずかに一年を残すのみ、いくぶんかをひもとく。
乙巳新年恭賦宸題鳥
東西南北駕長風
春夏秋冬領碧空
豈向樊籠求美餌
志存名水好山中
新春書懐
歳歳寸心傾典墳
三余本冀老斯文
古稀纔剰四裘葛
万巻不知繙幾分
三條若狭屋「御花びら餅」を頂戴した。説明書によれば、古くから宮中などで新年祝いに用いる「菱花びら」を模して考案された。現在の形は室町時代に簡略化されたもの。鏡餅を薄く平らにしごぼうを載せて味噌をつけた供物。歯固めとして用いられたらしい。歯固めとは年齢を固める、すなわち無事安全延年長寿を祝う意味だという。
あ、もちろん、この「御花びら餅」、ごぼうは砂糖漬け(これが珍味、歯触りがいい)、味噌は白味噌餡になっていて、なかなかのしろもの。京のおたべガイドでした、久しぶりに。