
松崎天民の葉書。消印が読めないけれど「講談社」宛はがきを転用していることから大正時代の末頃と考える。一九二五年に社名を「大日本雄弁会講談社」と改称しているため。ただし小川菊松によれば、「講談倶楽部」の発行にあたっては創刊以来「講談社」の別名を用いていたそうで、時期の特定の根拠にはならないのでは、という読者の方よりのご指摘をいただいた。おっしゃる通り。昭和になってからの可能性の方が高いかもしれない。宛名の畑耕一は東京日日の記者をへて大正十三年に松竹キネマ入りした劇作家、小説家だろう。先生と書いているところからすれば記者時代とは考えにくいか? 天民より八歳下だし(年齢はコトバンクによっていましたが『現代俳句辞典』角川書店に従って訂正しました。明治十九年生まれ、昭和三十二年没)。文面は以下の通り(「十六夜会」および「臥床」は読者の方よりご教示いただきました)。
十七日の遊行ゼヒお伴
いたしたい心持で居ます
この四五日風邪臥床、
やつと今日起き出ま
した、十六夜会にも
思へば御無沙汰つづき哉
***
湯川さんと親しくされていた方より「2011年極狭私的見聞録」というお便りを頂戴した。本、美術展DVD、CD、の分野に分けて今年印象に残った作品を列挙しておられる。
《これは、湯川さんが「季刊湯川」発行中、「みすず」のアンケートを本だけでなく、音楽、美術に拡大したものをやりたいと、言われて、二人で交換していたのですが、その内「生活に追われて……」音楽会は行けなかったと、本だけになり、その後、本も消え、賀状のみになりました》とのこと。その方は湯川さんを囲む人たちに送っておられたそうだ。
その方のリストで一番上に書かれているものだけ引用する。
本/村上春樹『雑文集』新潮社
美術展/川崎毅展(東洋陶磁美術館)
DVD/トーマス・ハンプソン「マーラーの歌曲・パリ シャトレ座ライブ」
CD/崎川晶子「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」
せっかくだから小生も今年を振り返ってみる。展覧会は振り返るほど見ていないが、ダイアン・アーバスは良かった。アートフェアーの熊谷守一も。他には松尾神社の神像や刺繍ポジャギとチョガッポ展。
新刊書はちょっと狭すぎる選択かもしれないけれども個人的に関わりのあったものが印象に残る。
・いまそかりし昔 築添正生
http://sumus.exblog.jp/15080564/
・評伝ジャック・プレヴェール 柏倉康夫
http://sumus.exblog.jp/16484549/
・三條廣道辺り 石原輝雄
http://sumus.exblog.jp/15981220/
映画はDVDや録画で見たものばかり。印象深いのは先日パリから戻るときに飛行機のなかで見たゴダールの「軽蔑 LE MEPRIS」(1963)。すごく新鮮だった(もちろんずっと昔に見ているのだが)。素人みたいな下手くそな映画だが、それが「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」のすぐ後で見たからか、妙に魅力的だった。バルドー、いい。
CDでは例の
ハイデガーの朗読はちょっと外せないが、音楽で繰り返し聴いたのはゲンズブールのベスト盤「ゲンズブール・フォーエヴァー」とエリック・クラプトンの1990年のベスト盤「ERIC CLAPTON STORY」。季村さんおすすめの ZAZ もよかった。
古本収穫もだんだん狭くなって買った本の数は昨年よりもさらに減った。
・生田耕作反故原稿
http://sumus.exblog.jp/14800128/
・植草甚一年賀状
http://sumus.exblog.jp/15137302/
・黄葉夕陽村舎詩後編
http://sumus.exblog.jp/15332935/
・詩人 2〜4
http://sumus.exblog.jp/16305128/
・松崎天民葉書
・アカツキ マキノ五 新聲社 1902
・Misérable Miracle アンリ・ミショー 1956
・Celui qui ne m'accompagnait pas モーリス・ブランショ 1953
・Jacques Prévert Collages 1982
http://sumus.exblog.jp/17346127/
・絵葉書(飯田衞、国枝金三、鍋井克之)
http://sumus.exblog.jp/15091472/