
パリが暖かかったと言っても、午前中は摂氏三度から十度の間、午後が十度から十五度ていどの気温だった。この日は十時からのジョルジュ・ブラッサンス公園での古本マーケット(毎週土日開催)へ向かったが、けっこう肌寒い。ここは以前にも紹介した。
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もともとが屠畜場(アバトワール)だったため、その門には牛の銅像がそびえている。休日には子供の世話するお父さんの姿をよく見かける。

この日は日曜。ジョギングをする人たちがひっきりなしに通り過ぎる。

日曜は古書店はほとんど休み。だから今日はここだけなので、他所へ廻る必要もなく、ゆったりと眺められる。

見覚えのある店主の一人。ちょっと白髪が増えたかも。

食いついたのはこの平台だった。革装の古めの本が十点くらいバラバラッと拡げられているのに吸い込まれる。写真に見える小型の本がだいたい十七世紀の本。きちんと装幀されているのはもっと新しく十九世紀が多かった。古い方はかなり傷みが激しい。しかし、それもまた風景になっている。絵のモチーフにもよかろう。ただし、傷んでいるわりには値段が付いている。日本で言えば江戸前期の和本に当るわけだから当然かもしれないが「もう少しなんとかならないかなあ……、どれにしようかなあ」などと考え込んでいると店主がやって来た。
「欲しいのあります?」
「ああ、ええ、本の姿がいいですねえ」
「ま、ゆっくりどうぞ」
と言われたからでもないが、三十分近く唸った末に、どちらかにしようと二冊選んで店主のもとへ持参した。店主の目がキラリ。
「これいくらですか? 値段がないんですけど」
「二冊買う?」
「あ、いや、あまりお金がなくて……」
「これはこっちよりも高いですよ。古いからね、う〜ん、どう、二冊なら◯◯ユーロにしとく」
「え、二冊ですか」
そんなに高額ではもちろんないけれども、遣い過ぎないようにとポケットには少ししか現金を入れてなかった。
「もう一声なんとかなりませんか」
「これ以上は無理だよ」
ええい、しょうがない。二冊買おう。要するにどちらも欲しいわけだし、後で悔やむのもいやだ。腹巻きからとっておきの札束(五ユーロと十ユーロの、笑)を出す。店主が本を渡してくれるときに
「セ、ボ C'est beau」
美しい、と一言。そうですよねえと心の中でおおいに頷く。
領収書を書いてもらう。グッサンヴィル(GOUSSAINVILLE)というパリ近郊の町に店舗を構える古書店だということがその住所から分かった。とりあえず、パリに来て最初の古本買である。満足なり。
P. Papinii Statii『Opera Quae extant』Pillehotte,1608。

そして『NOVVM TESTAMENTVM(Novum Testamentum)』Cologniae Agrippinae: Sumpt. Hered B. Gualteri, 1639。
小学生の課外活動か?