
アートフェアー会場で熊谷守一の個展を見てから、もっとモリカズ作品を見たくなったので、豊島区千早にある熊谷守一美術館を訪ねた。地下鉄有楽町線・副都心線の要駅下車徒歩十分弱。静かな住宅街にある。
http://kumagai-morikazu.jp/
展示は一階と二階、一階には売店もあり、三階はギャラリー(貸し・企画)。一階には初期から晩年までの油彩画を中心に、彫刻、墨絵、デッサンなどが並んでいる。若い頃はフォーヴふうの変った絵だ。あまり感心しない。しかし晩年の平面構成のような絵は、ちょっと真似のできない境地である。いや、真似はカンタンにできる、しかしほんとうの真似はできないし、真似しても仕方がない。

二階は書と墨彩画など。文字も独特。禅坊主ふうでも文人ふうでもなく、書道の流れからは外れていながら、ひょろひょろしたなかに揺るぎないものを感じさせる。濃淡も美しい。クマガイ流としか言いようがない。墨彩は出来の良し悪しがはっきりしているようだ。
この「白猫」(一九五九年作、七十九歳)など、どこが猫なんだろう、といぶかりつつみょうにひかれる。結局は線なのか……。

こちらは展示作品ではないが、絵葉書を求めた「夕映」(一九七〇年作、九十歳、岐阜県美術館)、円(輪)は美術史上でさまざまに描かれてきているけれど、こんな手がまだあったか。