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評伝ジャック・プレヴェール

評伝ジャック・プレヴェール_b0081843_1733335.jpg

本日の毎日新聞に川本三郎氏が『評伝ジャック・プレヴェール』の書評を書いてくださっている。毎日新聞の書評欄には書影がない(!)のでここにかかげておく。
評伝ジャック・プレヴェール_b0081843_17331796.jpg

一九四八年十月十二日、プレヴェールはシャンゼリゼ大通りにあった国営ラジオ局の二階でインタビューを受けていた。何気なく窓によりかかった詩人は閂のかかっていない窓が開くに任せて路上に転落した(ドイツ軍が接収していたときに機関銃を設置するため手摺などが取り外されていた)。頭蓋骨骨折による脳震盪、肋骨三本が折れて肺を圧迫するという重態、十日間の昏睡状態にあったという。

その事故のリハビリのために始めたのがコラージュだったそうだ。

《コラージュを本格的にはじめてからは、材料を探すことが楽しみになった。色々なイメージや着色版画や写真を探しながら、セーヌ川畔に出ている古本屋を見てまわり、一つ一つを吟味して、心に響くものがあれば購入した。》

《そして時間があれば、パリにいるときは郊外のサン・トゥーアンなどで開かれているノミの市や、ジャコブ通り、サン・ペール通りなどの古本屋をまわって、めぼしい雑誌を飽きずに探し、これはと思う絵や写真の複製が掲載されているものを買ってきた。
 ヴェロン小路のアパルトマンの大きな机や、サン=ポールの仕事机に座って、まずそれらの雑誌から絵を鋏で切り抜く。机にはそれらを入れる箱、糊、ピカソがくれたフェルトペン、色鉛筆、パステルがのっている。》

《コラージュをつくるには、まず「語りかけてくる」イマージュを見つけることが重要で、それを他人まかせにすることはできなかった。「何か私を悦ばせるものがあれば、それを切り抜いて、引き出しに入れておく。大事なのはそれが私を悦ばせてくれることだ。》

《プレヴェールはさまざまの技法を駆使しながらコラージュをつくったが、そこには一貫して一つの主張が看て取れる。反軍、反ブルジョワ、反権力、反教会、反戦争の精神である。
 これらの作品は、父から独立して、ガリマール社とは二〇〇メートルと離れていないバック通り四十二番地に、新たに画廊を開いたアドリアン・マーグの興味をかき立てた。こうして画廊の幕開けは、「ジャック・プレヴェールのコラージュ」の展覧会とすることに決まった。》

一九五七年のこと。このときに一五〇〇部限定の図録『Images de Jacques Prévert』(René Bertele, Adrien Maeght, 1957) が作られているというので、探してみると、なかなかのお値段。引き続き展覧会は一九六三〜六四年にフォーブール・サン・トノレ通りのクヌードラー画廊で、六六年にポシャード画廊で開催され、一九六六年の著書『寄せ集め Fatra』(Gallimard, 1966)にはコラージュが多数収録されている(植草甚一がびっくりしたファトラ!)。

《言葉による詩も映画の台詞もコラージュも、プレヴェールにとっては平凡な表現を彩る夢であって、決して暇つぶしではなかった。彼の詩の数々は書物の形で残され、コラージュは死後に遺族の手で国立図書館に寄贈され、いまは国の所有となっている。》

なるほど、そうだったか。先日たまたまサイト上で見かけたプレヴェールのコラージュが異常に高額だったのはそのためか。供給量が少ないわけだ。柏倉氏の労作でプレヴェールの造形作家としての側面に日本でも光が当てられ、コラージュ展でも開催されれば言う事なしなのだが。気の利いた学芸員はいないのだろうか。

左右社
http://sayusha.com/sayusha/SAYUSHA_HOME.html
by sumus_co | 2011-10-23 19:58 | 装幀=林哲夫
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