題 名=晴のち曇、所により大雨 回想の石川淳
発 行=一九九三年十一月一日第一刷発行
著 者=石川活
発行者=森本政彦
印刷所=明和印刷
発行所=筑摩書房
装 画=青山二郎
装 幀=多田進
タテ=195mm
「男の嫉妬ーーあとがきに代えて」という一文で著者が青山二郎(ジィちゃん)について語っている。
《ジィちゃんとは、日本橋の寿司春でよくお眼にかかりました。お会いするたびに頻りに、「おい、青山学園に入らないか」と誘われました。"青山学園"というのは、ジィちゃんの周囲にいつの間にか形づくられた、一種のサロンのようなものであったらしい。らしいというのは、自分で望みながら私はついにこの学園に入ることかなわなかったからです。
「青山学園って、入っていったい何をするんですか」
「何しろ入ればいいのさ。ふいとやって来て、飲んでいればいいんだよ」
ジィちゃんはこんな風にいうだけでした。》
《私は、じつは青山学園に入りたかった。気持ちはすでに入園[二字傍点]するつもりでいたのでした。ところが、私のほんのちょっとした不注意[三字傍点]からそれが不可能になったのでした。
あるとき私が、食事の会話のすさびに、「ジィちゃんて、一本筋が通っていて、なかなか魅力のある人ねえ」と、たった一とこと言ったのが間違いのもと。突然石川は不興気まるだしの顔で席を立ってしまって、以後私はジィちゃんに会わせてもらえなくなってしまったのです。》
《このたび、はからずも故二郎氏の未亡人和子さんにお眼にかかることができ、ジィちゃんが書き遺された美しい絵を貸していただき、装幀に用いることが許されました。私にとってこんなに嬉しく幸せなことはありません。この場を借りてジィちゃんと和子さんに心から感謝申し上げます。
「ジィちゃん、ほんとうにありがとうございます」》