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小銭をかぞえる西村賢太『小銭をかぞえる』(文藝春秋、二〇〇八年九月二五日、装画=森田朋、装丁=関口聖司)と『二度はゆけぬ町の地図』(角川書店、二〇〇七年一〇月三一日、装丁=天野昌樹)を一気に読んでしまった。みょうに爽快な作品群である。『どうで死ぬ身の一踊り』はかつて二度ほど言及して絶賛したことがある。 滴滴と滑りゆくもの梅雨寒し http://sumus.exblog.jp/5306975 測鉛を深深闇へ薔薇にほふ http://sumus.exblog.jp/4936523 破滅型などと言われているようだが、まったく破滅なんかしていない。ただの小心者である。そこを強調しているところにうまさがある。国会で検索してみると以下のような著作があるようだ。早くここに『藤澤清造全集』が加わるように祈っている。 1.一私小説書きの弁 / 西村賢太. -- 新潮社, 2011.5. -- (新潮文庫 ; に-23-3) 2.廃疾かかえて / 西村賢太. -- 新潮社, 2011.5. -- (新潮文庫 ; に-23-2) 3.小銭をかぞえる / 西村賢太. -- 文藝春秋, 2011.3. -- (文春文庫 ; に18-1) 4.苦役列車 / 西村賢太. -- 新潮社, 2011.1 5.二度はゆけぬ町の地図 / 西村賢太. -- 角川書店, 2010.10. -- (角川文庫 ; 16500) 6.東と西. 2 / 西村賢太,他. -- 小学館, 2010.7 7.人もいない春 / 西村賢太. -- 角川書店, 2010.6 8.暗渠の宿 / 西村賢太. -- 新潮社, 2010.2. -- (新潮文庫 ; に-23-1) 9.一私小説書きの弁 / 西村賢太. -- 講談社, 2010.1 10.ひと粒の宇宙 / 石田衣良. -- 角川書店, 2009.11. -- (角川文庫 ; 15983) 11.瘡瘢旅行 / 西村賢太. -- 講談社, 2009.8 12.文学. 2009 / 日本文藝家協会. -- 講談社, 2009.4 13.どうで死ぬ身の一踊り / 西村賢太. -- 講談社, 2009.1. -- (講談社文庫 ; に33-1) 14.小銭をかぞえる / 西村賢太. -- 文藝春秋, 2008.9 15.二度はゆけぬ町の地図 / 西村賢太. -- 角川書店, 2007.10 16.暗渠の宿 / 西村賢太. -- 新潮社, 2006.12 17.極上掌篇小説 / 西村賢太,他. -- 角川書店, 2006.10 18.文学. 2006 / 日本文藝家協会. -- 講談社, 2006.4 19.どうで死ぬ身の一踊り / 西村賢太. -- 講談社, 2006.1 20.田中英光私研究. 第8輯 / 西村賢太. -- 西村賢太, 1996.11 21.田中英光私研究. 第7輯 / 西村賢太. -- 西村賢太, 1995.11 22.田中英光私研究. 第6輯 / 西村賢太. -- 西村賢太, 1995.1 23.田中英光私研究. 第2輯 / 西村賢太. -- 〔西村賢太〕, 1994.4 24.田中英光私研究. 第1輯 / 西村賢太. -- 西村賢太, 1994.1 古本者には『小銭をかぞえる』所収の「焼却炉行き赤ん坊」(あざといタイトルだ)が身につまされる。パラフィン掛けの登場する小説もちょっと珍しいだろう。筋立ての眼目は『藤澤清造全集』の印刷費が滞り、なんとかそれを工面しようと主人公があがく、そのあがき様。まずは誰でもやる金策、書棚から金になりそうな古書を抜いて旧知のA書林に持ち込むことから始まる。大いに悩んで選び出した書物は以下のごとし。 川崎長太郎『路草』文座書林、一九三四年、限定八百五十部 江戸川乱歩『探偵小説三十年』岩谷書店、一九五四年、大坪砂男の漢詩と署名入り 大坪砂男『私刑』岩谷書店、一九四九年 大坪砂男『愉快な悪人』桃源社、一九五八年 大坪砂男『閑雅な殺人』東方社、一九五五年 『生田長江全集』五冊、大東出版社、一九三六年 A書林主・新川の描き方に容赦がないが、とりあえず本を見せて値踏みするところを引用してみる。 《アタッシュケースから、かの書籍を取りだして机の上に並べてみせると、新川はそれらをざっと眺め、 「状態が悪すぎるな……いかにも足で安く集めたって感じが強いし、今、長江なんかを買う研究者はいないよ。これじゃ、いくらにもならないぞ」 「そうかなあ……ぼくはこの長江で二万、大坪一括で五万、それにこっちの『路草』で八万の、しめて十五万円にはなることを計算していたんですがね」 「いや、そんなにはならない。せいぜいが全部で四、五万といったところだろうな。もっともこっちの大坪は、もしかしたらもう少し化けるかもしれないけれど……だったら、これまとめてあさっての、金曜の市に出した方がいいんじゃないのか」 神田では、毎週金曜日に近代文学書を中心とした市がひらかれていたが、これには当然かのジャンルを専門とした、古書組合の加入業者が通常よりも多く集まってくるので、自然と他の曜日の市よりは高値で処分することも期待できるわけである。》 古書店主の出自も記されている。神保町に限ったことでもなく、古書業界に限ったことでもないだろうが、縁故をたよって上京してきた地方出身者が少なくないようにも思う。 《福島の浜通り出身で、言葉に訛りの取りきれぬ新川は、高校卒業後に母方の叔父である神保町の古書店に勤めながら夜間大学に通い、三十歳目前で独立して自ら古書肆を開業したときには、すでに三人の子供の親となっていた。》 さて、これらの本がどうなったか……は本書を読んでいただこう。面白いが、たわいもない。たわいないのも小説の醍醐味である。 *
by sumus_co
| 2011-07-29 20:52
| 古書日録
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