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海鳴り23 洪水8ジャスパー・ジョーンズ「0から9」(一九六一年)。 『詩と音楽のための 洪水』第八号(洪水企画、二〇一一年七月一日)を頂戴した。以前にも紹介したことがあるが、B5判で百四十頁以上もある雑誌で、編集兼発行人の池田氏がひとりできりもりしておられるという。今号は特集「湯浅譲二その花の位」。瀧口修造に関する連載記事もあり、馬場駿吉、土渕信彦、空閑俊憲、林浩平の各氏が名を連ねている。それぞれに興味引かれる内容だが、とくに空閑氏によるジャスパー・ジョーンズの回想は印象的。瀧口修造とジャスパーは一九六〇年代(六六年とも六八年以降だとも)のある日東京のスナックで東野芳明とともに語り合ったそうだ。それにまつわる話の他に、なるほどと思ったのは空閑氏が一九七七年にニューヨーク、ストニーポイントにジャスパーを訪問したときの様子である。 《出発前の午前中にタイムズスクェアーのバスターミナルから電話し、バスの出発時をかれに知らせた。北へ二時間あまり乗ると、バス停の標識もない場所にバスが停まった。数人の乗客が降り、私もすこし不安げに続いたが、路上には誰もいなかった。しかし、数十メートル離れた前方に古いシェボレーのコンバーチブルのそばで微笑みながら手を挙げるサングラス姿のジョーンズが立っていた。大柄のとても親しみやすい人物で、初対面とは思えなかった。 「お腹は空いているかい?」、いきなりジョーンズが尋ねた、「ハンバーガーは好きかい? まず近くのスーパーマーケットへ行こう」。》 《ランチはジョーンズの手作りのハンバーガーだった。かれは大きな両手で挽肉を叩いて丸め、私はオレンジを搾って新鮮なジュースを作るのを手伝ったように覚えている。額に入ったサイ・ツォンボリーの小作品が椅子に座った目線のあたりの壁にかかっていて、MOMAのセザンヌ展カタログが大きなテーブルの上に一冊置かれていた。「その展覧会を見に行ったかい? すばらしい作品だろう」、ジョーンズは眼を輝かしながら言った。》 《昼食後かれは私をスタジオへ案内した。》《ふだん画集で見慣れた作品の実物を画家の仕事場で眺めるのは、実に感動的であった。〈見張り〉〈標的〉〈数字〉〈星条旗〉があり、製作中のエンコスティック技法による〈ハッチ〉の作品などがあった。》 セザンヌが好きだったのか。ブロンズによる日用品のオブジェはジョーンズ流のセザンヌ解釈なのかもしれない(!) 《マンハッタンへ帰る時刻が近づいた。ところがジョーンズはニューヨークまで私を車で見送ってくれるという。帰りのバスの切符を買ってきたのですと言うと、それはお土産としてとっておけばよいじゃないかと答えて微笑んだ。 わざわざ遠回りして、かれはスタジオ近くを案内してくれた。「ここの風景はどこかセザンヌの風景に似ていますね」と私は言った。》 空閑氏の文章も的確で、ジョーンズのうるわしい人柄がよく分かる訪問記である。ジョーンズの作品図版がどこかにないか探したのだが、現代美術に関する図録などはほとんど処分してしまったようで、見当たらなかった。ネットから拾うのもシャクなので、かろうじてピエール・カバンヌの『美術辞典』(BORDAS,1979)に出ていた一点を引用してみた(上図)。 * 『海鳴り』23号(編集工房ノア、二〇一一年八月一日)が届く。庄野至「僕がパブリカで走った夜」はちょっとしたドラマのような随筆。ここでは画家つながりで鶴見俊輔さんの「須田刻太の面影」を取り上げよう。須田は鶴見さんが飯沼二郎から引き継いだ『朝鮮人』という雑誌の表紙を毎号無料で描いてくれていたという。 《須田さんは、そのながい画歴の中で突然に、抽象画の画風をもつ同業者に出あった。同席のものは、その仕事にひかれなかったが、須田さんはひかれた。彼について行って、やがて今までの写実をほうりだして、抽象画だけをつくりつづけた。今、須田さんの抽象画だけのコレクションをもつ美術館がある。 現在の須田さんの画は、それまでの写実をほうりだして抽象画だけに熱中した年月をよそに考えることはできない。》 須田が長谷川三郎に出合ったのは一九四九年。鶴見さんは触れていないが、ほぼ同時に書にも魅きつけられたようだ。一九七一年から始まった司馬遼太郎の「街道を行く」の挿絵で一般に知られるようになった。『朝鮮人』終刊の会合の帰りに鶴見さんは須田を西宮の自宅まで送った。 《タクシーが自宅前につくと、ここまで来たんだから、あがってくださいと言われた。自宅のドアをあけて、おてつだい(足が悪かった)を呼ばず、もうねていた妻をおこさず、ただちに二階にあがって、健康のために日課としている体操を披露した。その次第を、自分で図解している。桧のすわり椅子二個をよせて、その上でさかだちするのだ。それから、階下におりると一間だけ、かきかけの画の散乱していない部屋をえらんで、彼自身のつくったやきもののオブジェクトを示して、これらの中の好きなのをもらってくれという。 私は、「牧師」となづけた作品と、もうひとつ「ヌード」をえらんだ。ヌードはなまぐささを感じさせない不思議な作品だった。 彼がなくなったのは、それからしばらくしてのことである。》 一九九〇年七月一四日歿。八十四歳だった。 *
by sumus_co
| 2011-07-22 22:04
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