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坂崎重盛とは?![]() 6月12日に(ジュンク堂書店大阪本店3階喫茶コーナー)でトークさせてもらう坂崎さんの著作を並べてみた。関西ではあまり馴染みがないかもしれないので、少々ご紹介を。といっても、小生も私生活についてはまったく存じ上げない。しかしながらその著作に短く言及されていることを拾い集めてみると、それなりの坂崎像が見えてくる。引用略号[神=神保町「二階世界」巡り][岩=「絵のある」岩波文庫への招待][蒐=蒐集する猿]。 著書は国会図書館で調べると『なぜ、この人の周りに人が集まるのか』(PHP研究所、一九九〇年)から本年刊行の『「絵のある」岩波文庫への招待』まで二十六冊(同一タイトルの文庫版も含める)。初期は『90年代ビジネスは快楽志向』(ダイヤモンド社、一九九〇年)などビジネスマン向け生き方指南のような内容の本が多いようだ。名著『蒐集する猿』(同朋舎、二〇〇〇年)あたりからまったく独自の趣味の世界、蒐集の披露や町歩きの著作が続くようになる。 一九四二年、東京生れ。《私が育った平井や向島も、粋なところどころか、小さな町工場のある、雑多な"場末"そのものである》[神313]、《子供のころは、家の中にいるよりも、いつも町の中で遊んでいた》[岩16]。 東京本、明治石版画、ステッキ、ひょうたんなどざまざまなモノ(および「影」「たきび」などのモノならぬ記録)を蒐集されておられるが、そのコレクター魂はすでに小学生のころに芽生えていた。《小学校も四、五年になるとあれは「子供の科学」の影響だったのか、植物採集に熱中した。》[蒐242]、《新聞などの連載やちょっとしたカットを、小学生のころから切り抜いて最中の空箱なんかに入れていた》[岩17]。 《高校生となって向島・小梅町に自転車で通学するようになり》《明治・大正・昭和の東京の下町関連本収集に拍車がかかってしまった》[蒐182]……この記述からすると都立本所高等学校のご出身だろうか? 《浅草・松屋側から吾妻橋を渡った橋のすぐたもと、私が高校生のころからときどきのぞいていた》[神326]古書店で東京関係の本を買っておられる。名前は出ていないのだが、おそらく宮崎書店(墨田区吾妻橋一の一九の一二)ではなかろうかと思う。 正岡容『随筆寄席風俗』を《高校三年生のころだったか、たしか中居堀(実家のあった墨田区吾嬬町、今の立花あたり)の古本屋の棚で見つけた》《落語好きの兄の影響もあって、僕が寄席に通いはじめたころ、志ん生、文楽、円生がトリをつとめていた時代だった》[神37-38]。 千葉大学造園学科で造園学と風景計画を専攻。ジャズに熱中。吾妻橋のたもとのアサヒビールでバイトをする。二十歳になったばかりのころ神保町ランチョンを知る[神122]。 横浜市計画局・公園部に就職。《学生気分が抜けないダメ新米公務員は、週末といえば横浜の深夜まで営業している居酒屋やJAZZ喫茶を回遊していた》[岩177]。三年に満たないうちに辞職[神291]。 役所を辞めて《ユニークな物書きK氏のアシスタントみたいなことをしたり、その人が紹介してくれた雑誌の記事などを書いて、なんとか生活していた》《下高井戸の、これも同じ学友H君の経営する事務所の二階に暮らしていた》《幅広のパンタロンに裾が足首あたりまであるロングのコートなどといういで立ちだった》《その土蔵の二階の部屋を「遊戯空間研究所」と勝手に銘うち、名刺をつくり、気ままな生活を送っていた》《部屋の中にブランコを吊り下げていた》、「二人連結帽子(別名ラブラブハット)」や「ポケット四十八個コート」などを考案[神291-292]。 いやあ、六〇年代末から七〇年代へのかけての風が吹いているなあ。 《二十代の半ば、ちょっとした詩(?)とデッサン(?)のようなもの》を植草甚一に送り、自筆葉書をもらい、経堂の自宅を訪れる。古書店で顔を合わせたこともある[神75]。ウラヤマシイー! 《三十代の初めに今の家を持った。兄弟の所有する土地に親の金を借りて家を建てたのである》《すでに私は結婚し、幼稚園にあがる前の年頃になる娘がいた》[神290]、《都心のアパートから、印旛沼に近い田舎町に引っ越してきた》[蒐198]。 家が建って、その借金の一割も返済しないうちに、勤めていた会社が倒産、組合は計画倒産として争議となる。約二年後に争議仲間たちと「波乗社」を設立[神296]。東京都千代田区飯田橋二丁目栄昇ビル。このビルはかつて『彷書月刊』編集部や漫画屋も入っていたものすごくマニアックな場所である。 五十代にして「超隠居」を表明し、路地・横丁歩き、古書店めぐり、コレクションにうつつをぬかす[神296-7]。交遊は嵐山光三郎、南伸坊、石田千、山本容子、坪内祐三……、「THE ALFEE ジ・アルフィー」の坂崎幸之助は甥御さんだとか。 どうですか、もっといろいろ逸話を引き出してみたいお方じゃありませんか!
by sumus_co
| 2011-06-09 22:22
| 古書日録
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