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日本浪漫派の群像

日本浪漫派の群像_b0081843_20385921.jpg

三枝康高『日本浪漫派の群像』(有信堂、一九六七年四月一〇日)掲載の《「転形期の文学」処女出版記念会(銀座オリンピックにて)昭和九年》とされている記念写真より淀野隆三(左)と中谷孝雄。二人は『青空』時代から仲がよく終生の親友だった。

先日の春の古書大即売会でこの写真を見つけた。買うつもりでずっと会場の中を持って歩いていたのだったが、ちょっと値段にひっかかって、この手の本ならネットでもっと安く買えるかもしれない、などという卑しい下心で、最後の最後に置き去りにしてしまった。ところが帰って調べてみると日本の古本屋には一冊しか出品がなく、しかも即売会の方が安かった(送料もかかるし)。まだまだ修行が足りません。自戒として購入。本の状態はこちらの方が良(まけおしみ)。

写真の全体は下のようなもの。見開きになっているのでノドのところが見え難いが、気になる人物だけ名前を付しておく。

日本浪漫派の群像_b0081843_20383977.jpg

1 中谷孝雄
2 淀野隆三
3 林 房雄
4 亀井勝一郎 『転形期の文学』の著者
5 キャプションに従えば保田与重郎になるはずだが、この人物ではないというご教示をいただいたので訂正。下の写真の11阪本越郎の上の人物である。
6 高見 順

日本浪漫派の群像_b0081843_20384989.jpg

7 江口 渙
8 平林英子
9 上野壮夫
10 遠地輝武
11 阪本越郎
12 北川冬彦
13 平野 謙

淀野隆三の名前は本文に四度出てくる。ただそれはいずれも同じような文章の繰り返しである。

《かくて同人雑誌『日本浪漫派』は、昭和十三年三月に創刊されたが、最初の同人はすでに掲げた名前の他、伊東静雄、芳賀檀、伊藤佐喜雄、淀野隆三、緑川貢がこれに列っている。そして第二号から同人雑誌『青い花』と合流することによって、太宰治、山岸外史、檀一雄、小山祐士、伊馬鵜平、今官一が加わり、その後も随時同人を増加して、十二年暮には三十名近くに及んだが、財政的理由にもとづいて廃刊した。》

また

《一と口にいって、「日本浪漫派」は、プロレタリア文学が壊滅したのちの文学界に、浪漫的な新風をもたらそうとした運動であって、これらの同人のうちでも保田と亀井と太宰とは、かつて左翼運動に関係していたのである。》

というが、むろん淀野隆三も関係していた。上の記念撮影で左翼の人々が多いのもそういう理由である。淀野については著者はほとんど認識していなかったようだ。巻末の「『日本浪漫派』目録」を見ると、創刊の年昭和十年に次のような論文・飜訳・編輯後記を載せている。『青空』同様、かなり深く編輯にかかわっていたことが分かる。

第一巻第三号 人生劇場を読む 
第一巻第四号 宗教・政治・文学に関して 一九三三年の「日記」より
       アンドレ・ジイド 淀野隆三訳
第一巻第五号 現代浪漫主義の一態度 
第一巻第六号 文芸時評
       編輯後記
第一巻第九号 絶望の逃走
       編輯後記

残念なことに『日本浪漫派』に関係していた頃の淀野日記は残されていないようだ(『spin』08号に掲載した時期に相当するのだが、記載は見えず)。淀野は昭和十一年一月に父を亡くしたため京都伏見に戻って稼業を継いだ。住友系列の鉄材商として実業の世界で精一杯の働きをしていたようだ。その結果、敗戦にいたるまで文学の世界から離れてしまった。昭和十七年三月には《このまゝ商人では死にきれない気がする》と日記に書き付けている。文学の火は心中にくすぶっていたのである。

  *

Mさんのmixi日記を見ると以下の記述があった。

《『世界文学2 五・六月合併号』昭和二十一年六月世界文学社
「創作」6篇のうち翻訳が5点、1点が織田作之助「夫婦善哉後日」というのが異色のような気がする。「詩」は「ポエム」レオン・ポオル・フアルグ淀野隆三譯である》

たぶんフアルグの飜訳は旧稿だと思うが、とにかく戦後になると文学へまっしぐらという感じなのである。
by sumus_co | 2011-05-09 21:55 | 淀野隆三関連
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