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きりぎりす![]() 古活字版『伊曽保物語』(寛永十六=一六三九年、天理図書館蔵)の一葉。『イソップ物語』は古くはきりしたん版(天正十八年、遣欧少年使節団が持ち帰った印刷器具によって天草で出版された二十九種の刊行物)にも『イソポのハブラス』(文禄二=一五九三年)と題して飜訳されており、古活字版だけでも九種が確認されているという。 五年間無休連載のブログ「柳居子徒然」に『アリとキリギリス』に関する話が出ていたので、たしかジェイムズ・ジョイスも好んだこのイソップ寓話がどんな内容だったか確認してみたくなった。 天草本『伊曽保物語』(新村出飜字、岩波文庫、一九三九年)ではこうである。 《 蝉と蟻との事 ある冬の半ばに蟻どもあまた穴より五穀を出(だ)いて日にさらし、風に吹かするを、蝉が来てこれを貰うた。蟻のいふは、「御辺(ごへん)は過ぎた夏秋はなにごとを営まれたぞ」。蝉のいふは「夏と秋のあひだは吟曲にとりまぎれて、すこしも暇(ひま)を得なんだによつて何(なに)たる営みもせなんだ」といふ。蟻「げにげにその分(ぶん)ぢや、夏秋謡ひあそばされたごとく、今も秘曲を尽されてよからうず」とて、さんざんに嘲り、すこしの食を取らせて戻(もど)いた。 下心 人は力の尽きぬうちに、未来の務めをすることが肝要ぢや。すこしの力と閑(ひま)あるとき、なぐさみを事とせうものは必ず後(のち)に難をうけいで叶ふまい。》 そして次の挿絵は『万治絵入本伊曽保物語』(武藤禎夫校注、岩波文庫、二〇〇〇年)より上巻第三「柿を吐却する事」。上巻はイソップの伝記で挿絵のなかにもイソップが描かれている。右中段の坊主頭の男性。イソップは紀元前七世紀から六世紀に実在したらしいギリシャ人アエソポス(Αἴσωπος)。その名は「長さの違う足をした」という意味だそうだ。戦争のときに捕虜になって負傷したということらしい、むろん伝説の域は出ない。 ![]() 同じく「蟻と蝉との事」(図の下部は別の話)。蝉に註があってこう書かれている。《地中海沿岸の温暖な所では蝉だが、寒冷の中欧以北では蝉が生息せず、代って多く蟋蟀(キリギリス)を出す。》と、この言葉の通り一八六三年にロンドンで刊行されたトマス・ジェームズ訳では「The Ant and the Grasshopper」である。 ![]() 内容はだいたい同じだが蟻の態度がいっそう冷たい。天草本では《すこしの食を取らせて》と慈悲を示しているのに対して、こちらは 《「御辺は、春秋の営みには、何事をか、し給ひけるぞ」といへば、蝉、答へて云く、「夏秋、身の営みとては、梢にうたふばかりなり。その音曲に取乱し、隙(ひま)なきまゝに暮し候」といへば、蟻申しけるは、「今とても、など、うたひ給はぬぞ。『謡(うたい)長じては、終に舞』とこと承(うけたまわ)れ。いやしき餌食を求めて、何にかは、し給ふべき」とて、穴に入りぬ。》 にべもない。なお「謡長じては、終に舞」というのは武藤の註には《芸事に凝ると、深みにはまって止められぬことの譬え》とある。舞でお仕舞い? 二千六百年前以来こういう寓話が意味をもってきた。十四世紀にはたいへん流布したらしい(だからきりしたん版にも取られているのだろう)、そして十七世紀以降にはラ・フォンテーヌの寓話としても有名になった。ただ「アリとキリギリス」の教訓についていえば、現代の日本では(日本にかぎらないが)ひょっとして意味をもたないかもしれないというのはなんという皮肉であろうか。 Makino さまにご指摘いただいて、ラ・フォンテーヌの「La Cigale et la Fourmi」(蝉と蟻)を探してみた。最後の台詞は以下のごとし。フランスは地中海に面した国だけにキリギリスじゃなくて蝉としてある。 «Que faisiez-vous au temps chaud ? Dit-elle à cette emprunteuse. Nuit et jour à tout venant Je chantais, ne vous déplaise. - Vous chantiez ? j'en suis fort aise. Eh bien : dansez maintenant.» 蟻の台詞だけ意訳すると 夏は何されておった、なんと、歌っておられたと? それはけっこうなことじゃ。 ならば、今は踊り候らえ。 踊れというのはラテン語版がこうなっているようだ。それにしても蝉に踊れはどうなんでしょ。
by sumus_co
| 2011-04-25 22:19
| 古書日録
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