『古書月報』212(東京都古書籍商業協同組合、一九七一年師走号)に「南部支部散歩(その一)」のなかに中村書店の写真と紹介文が載っていた。
《中村書店(中村良子)
坂を上り切って少し行くと、かの有名な詩の中村書店がある。中村三千夫氏が逝ってから早くも三年を経た。彼は出版出の人で詩を好み、古本屋を歩いているうちに戦後は自分自身もその古本屋になって、相変らず詩集を集め、詩を追って一生を終えた人である。
彼の後は現在三人の子供さんを抱えて気丈な奥さんが継いでおられる。明治古典会の常連であり大市会にも大いに出席、活躍される姿を「ああ、オレが死んだらうちの女房はあれ程やれるだろうかなあ!。」等、うらやむ御仁も少なからぬとか。娘さんに良いおむこさんが現れる日を一日も早かれと祈りたい。》
これで全文。じつはこの号は機関誌部・高橋太一(文雅堂書店)と関口良雄(山王書房)の担当だったようなのだ。二人の連名で「三茶書房の歩みー岩森亀一氏を囲んで」というこれまた貴重な記事も掲載されている。よって上に引用した紹介文も、無署名だが、あるいは関口さんの筆になるのかな、と疑ってみてもいいような気もする。
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