
坂崎重盛『「絵のある」岩波文庫への招待』(芸術新聞社、二〇一一年二月二五日、ブッデザイン=十河岳男、カバー銅版画=山本容子)を頂戴した。坂崎翁にはいつも御著書を頂戴している。厚くお礼申し上げます。これは『彷書月刊』に連載されたもの、および
芸術新聞社のサイトに掲載されたものから成っている。大冊だが、挿絵がたっぷり、見て面白く、読んでためになる、一粒で二度おいしい一冊だ。
新潟の余韻か、「春の前ぶれの雪の日々 江戸の奇書『北越雪譜』を読む」に目が走った。坂崎翁は石川淳の『諸国畸人伝』(中公文庫)などから鈴木牧之と山東京伝、滝沢馬琴らとの関係を要約しながら、牧之の同書出版への強い思いを語る。そして、ここが古書通の坂崎さんらしいところだが、次のような本が本を呼ぶ事件が登場。
《『北越雪譜』を拾い読みしているとき、よくのぞく古書店での一冊、見かけぬ本と出会った。『北越奇談』。文化九(一八一二)年崑崙・橘茂世著になる本で訳本は昭和五十三年、版元は新潟県三条にある野島出版。
えっ、「野島出版」といえば、「牧之愛蔵の初版本を複製し、世に送った」(益田勝美による)出版社ではないか。
この『北越奇談』は『北越雪譜』が世に出る三十年ほど前に刊行されている。三十年前? とすると牧之が『北越雪譜』をなんとか世に示そうと、最初に京伝に相談した時期である。ひょっとして牧之はこの『北越奇談』を見て、(自分なら、もっと本格的な北越雪話を著せる)と意を強くしたのではないだろうかーー》
こういう出会いというか、発見は大好きだ。さすが坂崎翁。

これは「明治・大正・昭和の児童文学を通観できる“お得な”名作集」のページ。右から巌谷小波「こがね丸」(画=武内桂舟)、小泉八雲の「ちんちん小袴」(画=?)、竹久夢二「春坊」(画=夢二)。『日本児童名作集』。

小生が新潟で求めた『西洋紀聞』にも挿絵があった。いや、この挿絵が気に入って選んだといってもいい。絵のある文庫本を揃えたくなる坂崎翁の新著である。