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新潟 2011年2月14日

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この日も朝は蒸しパンとコーヒー。しばし書棚の図録などを取り出して眺める。松本竣介の雑誌『雑記帳』復刻版があった。瀧口修造や北園克衛も執筆しているとは(!)。他にもいろいろ珍しい資料があって参考になった。そうこうしているうちにちょうどいい時間になり、一階に人が来た気配がした。i さんが開店準備をしておられた。「朝から雪でしたね」と言われ「え?」。外を見るとたしかに積もっている。二階はサッシの内側に吊り下げ式の障子を巡らせてあるので簡単に窓が開かないのだ。だから雪だとは分からなかった。本日は帰宅の予定。フライトはどうなのだろう? なるようになるさ。ちょっと散歩して食事をして戻りますと声をかけて市内中心部へ。

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新潟は古くから米の積み出し港として繁栄をきわめた。古町(昨日のふるまちモールのあたり)は(先日紹介した鴎外の漢詩にあったように)賑やかな花街(かがい)だったそうだ。多くは現代風の飲食店になっているが、それでも一部にかつての面影は濃く残っている。板塀、門、二階の造りに特徴のある昔のお茶屋がいくつも健在だ。地図をたよりに雪が降るなか花街を通り抜けてみた。路が狭い。みぞれ状態の路面にすべりそうになる。そういえば、一昨日の呑屋のおかみ(祇園にいた人)から「そんな靴はいてはるのんはやっぱり京都の人ですなあ」と指摘された。ボロの革靴である。水気がじわりしみ込む。たしかに地元の人たちは合成樹脂の靴かゴム長靴の人が圧倒的に多いようだった。

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営所通り。この写真の右手、軒のあるあたりに文求堂書店があった。

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同じ通りの少し北に学生書房。最近閉店した(これにより地面の古本屋はほぼ全滅状態)。看板が塗りつぶされているのがいかにも寂しい。なぜ古書店が店売りをしないか。ひとつの理由として絵屋スタッフのOさんが「大学が郊外に移転してしまって学生がいなくなったから」を挙げておられた。学生も教師もいなくなってはたしかにきびしいだろう。

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新潟市ではないが、少し南方の三条市に「古書真昼造船」という店ができたそうだ。絵屋に絵葉書が置いてあった。なかなかスタイリッシュ。

新潟県三条市の古書店 真昼造船
http://mahiruzousen.blog.so-net.ne.jp/

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絵屋のスタッフのHさんが御主人とやっておられる惣菜ダイニング「雉や」で昼食をとる。自家製の野菜など食材にこだわった実にヘルシーなメニューばかり。料理法にもちょっとした工夫がほどこされ、常食のなかに新味を追求する姿勢がいい。近所にこんな店がほしいなと思った。

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絵屋にもどると i さんがエアポートバスの時刻表を調べておいてくれた。大倉タクシーは本日不在。もう雪はやんで青空さえ見えているけれど「早めに空港へ行ったほうがいいですよ」というアドバイスに素直に従って出発。新潟駅まで路線バス。エアポート・リムジンバスの発車時間にぴったりに間に合った。二十分おきに出ているので便利。ただし、乗客三名(!)。大阪・新潟便もANAは一日四往復だが、最初にも書いたように定員の半分も席は埋まっていない。この日も到着したボンバルディアから降り立ったのは三十五名。乗ったのが三十名弱。聞くところによると、一日二往復だったのを公費補助によって四往復にしているらしい。むろんJAL便もある(こちらはジェット、客数は同様に少なそうでした。季節が季節なので仕方ないことかもしれませんが)。

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帰りの機長はボビー・オロゴンみたいな外国人。「本日は低気圧接近のため大阪空港は……」とじつに流暢な日本語、しかし語尾を巧妙にごまかす語り口で放送したのが印象的だった。

新潟のみなさん、お世話になりました。またふたたび訪れる日を待ち遠しく思っています。
by sumus_co | 2011-02-19 21:48 | 画家・林哲夫
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