一出郷園歳再除
慈親消息定何如
京城風雪無人伴
独剔寒燈夜読書
七言絶句「歳暮」、『頼山陽詩集』(註訳=頼成一+伊藤吉三、岩波文庫、一九四四年)より。文化八年(一八一一)の年の暮れ。京都で二度目の除夜を迎えて、親しい者たちを思いながら、風雪のために静かな夜、ひとり読書をしている……と本日の空模様にぴったり。年譜によればこの年《新町に寓す》とある。新町といえば、丸太町烏丸の西だろうか。
つづいて頼春水の五言律「歳暮書懐」、『
春水遺稿』より。
成人不自在
自在不成人
開此育英地
置吾敷教臣
官雖愧尸素
志欲報涓塵
歳月滄江晩
令人感慨新
これと対になる「歳首書懐」に《半百看過去》とあるので寛政の九年ごろか? そうだとすれば松平定信に働きかけて朱子学を幕府正学とすることに成功した時期になる。
《十二月聖堂を改革し弘文館を学問所と改称し官立と為す。是歳魯人多く蝦夷に往来す》(大増訂国史大辞典)
微力ながら教育につくしてきたという自負と感慨だろう。《成人不自在自在不成人》はどう理解すべきか無学なので分からないが、ドラ息子(?)の山陽との対比で考えると面白いような気もする。検索するとどうやら出典は宋代『羅大經』(鶴林玉露) 卷九、引朱熹小簡らしい。