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山上夜雨歌集![]() ![]() 『山上夜雨歌集』(波屋書房、一九二三年一一月一日再版発行)。装幀は斎藤与里。川田順と矢沢孝子(明治十年兵庫県出身で『スバル』の歌人。山上の歌の恩師)の序文がある。これは以前にも少しだけ紹介した(http://sumus.exblog.jp/11972493/)が、カバー付きをごく最近入手したので再度掲げる。夜雨は本名貞一(1899. 1.13〜1971. 5.17)。劇評論家、小説家。早稲田大学中退、松竹大阪支社入社。岡本綺堂を師とした。共著、単行本には下記のようなものがあるようだ。 岡本綺堂編『ふたば集』 第五巻(波屋書房、一九二五年)「武士の敵」 岡本綺堂編『現代戯曲傑作集』 (日本図書更新社、一九二六年) 岡本綺堂編『ふたば集(戯曲)』 第六集(武蔵野書院、一九二八年) 短篇小説集『春鶯囀』(波屋書房、一九二六年) 『芝居見たまゝ二十五番集』(創元社、一九二九年) 戯曲集『出発前』(婦女世界社、一九三四年) 本書、奥付およびカバーでは再版となっている。ただ奥付頁をよくよく見ると、ノドのところで切り貼りしているのが分かる。カバーのない初版も架蔵しているので較べてみたが、どうやら奥付だけ取り替えたように思える。 ![]() ![]() 初版で返品になったものの奥付だけ刷り直して再版として再販する、ひとつの販売テクニックとして例のあったことらしい。本書もおそらくその手管が使われたか? 斎藤与里は明治十八年(1885)九月七日、埼玉県北埼玉郡樋遣川村(現・加須市)生れ。本名與里治。浅井忠の聖護院洋画研究所で安井曾太郎、梅原良三郎(龍三郎)らとともに学び、二十一歳でパリに留学、後期印象派やフォーヴを学んだ。大正元年、岸田劉生らとフュウザン会を結成。解散後は文展に出品した。大正十二年九月に大正日日新聞大阪本社に学芸部次長格として迎えられ、翌年、大阪美術学校(校長・矢野橋村)の設立に協力、洋画部教授となる(以上、加須市のHPより)。 「巻末に」に本書刊行の経緯が書かれている。 《常に私の芸術に対して深甚な理解を有つてゐてくれるある人[三字傍点]に、久振りに逢つたのを幸ひに私の抱負を語つて後援を頼みました。抱負と言つても別に大した事でなく、(一)自作戯曲の発表機関誌の発行。(二)創作集の刊行。(三)歌集の出版。といつたものです。するとその人は歌集の出版に対して多大の後援をすることを誓つてくれました。》 この「ある人」は宇崎純一の弟祥二ではないだろうか。生年が近い(祥二は明治三十三年、貞一は三十二年)のと、後援の内容が出版のことばかりだから、おそらくそうだろうと思う。 * 岡本綺堂といえば『日本古書通信』977号に八木福次郎さんが「岡本経一氏逝く」という記事を寄せておられる(中野翠さんも朝日の読書欄で触れておられたが)。昭和六十三年一月、二月、同誌に八木氏との対談「青蛙房主人の世界」を連載しているそうだ。その要約が出ているので、さらに要約しておく。 明治四十二年三月岡山県の勝間田生れ。旧姓森部。十二三歳で郷里の先輩額田六福を頼って上京、食堂や新聞配達などを経て岡本綺堂の書生となり、昭和十二年六月には岡本家の養嗣子となった。昭和十九年応召、北支で終戦、シベリアで強制労働を強いられ二十二年秋に復員した。作家・劇作家を目指したこともあったが、出版に転じ、『舞台』編輯、サイレン社、大東出版社を経て昭和三十年十二月に青蛙房を創立。三田村鳶魚、柴田宵曲らとの知遇を得て出版方針が定まった。青蛙房の出版総点数はおよそ四百。その活動に対して昭和四十二年に菊池寛賞、六十四年に長谷川伸賞を受けた。現在は長男修一が継承している。平成二十二年十一月十五日歿。百一歳。
by sumus_co
| 2010-12-29 21:10
| 宇崎純一資料
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