
関口冬子『歌集 火と水と』(正和堂書房、一九二九年五月一〇日、装幀=鏑木清方)。関口冬子は名流夫人だったらしく『明星』に名前が出ている。序歌。
そむき合ふ二つの心火ともなり水ともな
りて渦巻ける胸
著者近影。

また、牧野四子吉(まきの・よねきち)が中扉の木版画を提供している。細密な動植物の絵で知られる画家と同一人物だろう。そうだとすれば、やや異色に見える。


後ろの見返しに「大学堂/三条寺町」のレッテルと新聞切抜き張り付け(松田常憲の「雑詠」、松田は福岡県秋月町出身。国学院大卒。岐阜の各地で国漢の教員をしていた歌人)。右手の覚え書きは昭和六年五月十一日に京都河原町にて購入、四十銭、云々とあるが、レッテルと同じ値段なので大学堂で買ったものだろう。元の定価は二円三十銭。同年五月七日に石川県の山中温泉で大火のあったことも書き留めている。
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