昼食後はまず三密堂書店の店頭で広瀬淡窓『淡窓詩話・約言或問』(岩波文庫、一九四〇年)、狩野永納『本朝画史 上』(佚存書坊、一八九三年、上・中・下・続・続の五冊本のうち)。これは悪くない収穫だ。《嘗て頼山陽は淡窓先生に向つて、「海西の詩は、享保の余習をうけて陳腐熟套のみなり。ともに詩を云ふべきは、足下と竹田のみなり。」と言つたといふ》(長寿吉「序言」)、要するに、頼山陽によれば九州には田能村竹田と広瀬淡窓しか詩人はいないということ。
そこから烏丸通まで歩いて地下鉄で今出川下車。鉄斎旧宅を撮影の後、
獺祭書房をのぞく。由起しげ子『本の話』(文藝春秋新社、一九四九年一〇月一〇日、カバー・扉=三雲祥之助)を見つけた。カバーがビリリと破れ、一部欠けているものの、これは読んでみたかった一冊なので即座にゲット。カバーがきれいだと貧生にはとうてい手が出ない。帯つきだったりしたら……ぶるる。
「警視総監の笑ひ」「脱走」「本の話」の三篇収録。「本の話」を車中でほぼ読了。ちょっとばかり鼻につくところもありながら、ぐいぐいと読ませる力を持っている。研究者だった義兄の残した専門書をめぐってのやりとりが眼目。戦後最初の芥川賞を受賞した作品で、実話だそうだ。
獺祭書房の御主人が
京都みなみ会館での「森崎書店の日々」(日向朝子監督)、「海炭市叙景」(熊切和嘉監督)の上映に合わせてスタンプラリーでの割引があり、また、みなみ会館で古本市(劇場ロビーにて1月8日、9日)が開かれるということを教えてくれる。
さらに
町家古本はんのきへ。Take it Easy! の石田氏と雑談。牛乳瓶のフタを大量に仕入れて儲けた話やコルク付きの王冠をやはり大量に仕入れて、まあ、ぼちぼち、という話を。本より紙モノや雑貨の方が売れるみたいとのこと。ここでは室生犀星を一冊。
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濱田研吾さんより徳川夢声の著書が新刊で二冊復刊されたというチラシをもらった。『あかるみ十五年』と『徳川夢声のくらがり二十年』。半世紀以上の時を経ての復刊だそうだ。どちらも大正昭和の日本映画史・芸能史の貴重な記録である。ラピュタ阿佐ヶ谷では「徳川夢声映画祭」が新春に予定されているという。夢声大いにわらふ、かも。
清流出版
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