長友啓典『装丁問答』(朝日新書、二〇一〇年一二月三〇日、カバーデザイン=アンスガー・フォルマー 田嶋佳子)。長友さんの装丁に関するエッセイを集めた一冊。『朝日新聞』および『あとん』の連載に書き下ろしが加えられている。黒田征太郎、伊集院静の寄稿もある。
朝日連載のときに拙著『古本デッサン帳』(青弓社、二〇〇一年)を取り上げてくださった(もう九年も前になるのか!)。これはほんとに励みになった。そして次の週だったか、同紙に短い紹介文も出て読書欄で続けて二度載せてもらうという珍事が起ったのである(聞く所によると、新聞の書評欄では、同じ著者の本は、新著が出ても前著から半年以上経たないと紹介しないというのが通例らしい?)。当時、他に長友さんが取り上げておられるのはほとんど有名装丁家ばかりで異色な選択になっていたが、今あらためて見返しても、そう状況は変っていない(とほほ)。
「はじめに」によると長友さんは、五十年前、桑沢デザイン研究所に通っていた頃モダンジャズにのめりこんだ。新宿、下北、吉祥寺、池袋とジャズ喫茶に入り浸った。どこでも演奏中のレコードジャケットが立てかけてあって、そのカッコ良さにシビレてしまったという。
《ここでデザインの表現を教わったといっても言い過ぎではないだろう。レコードジャケットに魅せられた。気に入ったものがあれば記憶に止め、中古のレコード店に行きLPレコードが大量に立て掛けてあるBOX(えさ箱と言った)をこまめに丁寧に探し求めたものだ。この辺りから「ジャケ買い」という言葉が一般に通用するようになったと記憶している。「ジャケ買い」の発祥はモダンジャズなのだ。》
《そのレコードジャケットがご存知のように衰退し、書籍にとって変った。レコードジャケットで得た経験を書籍に移し変えて見てみれば分かり易い。「これだ」と思った装丁本を購入して内容のつまらないものに出くわしたことがない》
とすると書籍の先行きは……嗚呼、言うまい、言うまい。とにかく、長友さんの文章はその装幀同様にキレがよくてサッパリとしている。じつに読みやすく装幀について考えさせてくれる一冊である。
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『装丁問答』(朝日新聞出版)刊行記念トークショー 12月19日(日)
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長友 啓典 - グラム Glam
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K2
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