伊東康雄(語り)・片柳草生(文)『夢のあとで 湯川書房・湯川成一と40年』(伊東康雄、二〇一〇年一〇月一〇日、装本=戸田勝久)。限定八十部、および二十冊特装本(戸田勝久肉筆画一葉入、五冊パーチメント装、十五冊モロッコ革装)。
伊東氏は一九六九年に湯川書房の処女出版『北の岬』に出会ってたちまち魅了され、藤枝文学館のオープニングで湯川さん本人とまみえて親しくなった。以来、顧客としてあるいは共同経営者として湯川書房とともに歩んでこられた。その有様が忌憚のない言葉で語られている。
二人はまるで恋人同士のような付き合い方をした時期があったようだ。伊東氏は十歳年下だったというが、ここに描かれた若き日の血気盛んな湯川さんの姿、壮年期の大望と失意など、小生のように晩年の七、八年しか知らない者にとっては驚きでしかない。最近、これほど一気に読み進めた本はなかった。伊東氏はむろん追悼のための個人的な回想として発表されているわけだが、もし、誰かが評伝として描けば、とてつもなく面白いものになるであろうという予感がする。(ちなみにすでに完売とのこと)