日本評論社の世界古典文庫を二冊ほど。右、1番のロバアト・オウエン『自敍伝』(本位田祥男・五島茂共訳、一九四七年八月一日)と88番のラッサール『学問と労働者』(猪木正道訳、一九四九年二月一〇日)。世界古典文庫はざっと一九四七年から五〇年まで刊行されたようだ(国会図書館には155番『イギリス産業革命史. 上』がある)。
この表紙の縁飾りについては拙著『古本スケッチ帳』(青弓社、二〇〇二年)で少し触れている。本箱整理をしていると、その資料が出てきたので、あらためて掲載しておきたい。拙著には「この装幀は渡邊一夫ではないか」というサジェスチョンを吉田勝栄さんに頂戴して、なるほどまさにそのとおりだなと感心したことを書いてある。新ネタはないのだが、ただ次の本はその後の発見である。

水野亮訳『蘆笛集 近代仏蘭西短篇集』(壯文社、一九四七年四月二五日)。扉絵にまったく同じオーナメントを使用。本来は十六世紀のものなので著作権ということでは問題はない。水野亮は一九二六年東京帝国大学仏文科卒。渡邊一夫の一学年下である。
次がそのオリジナルのタイトル・ページ。フランスの数学者で地図製作者だったオロンス・フィーヌ(Oronce Fine)の著作『Orontii Quadrans Astrolabicus Omnibus』(Simon De Colines, 1953)より。ケルト風の組紐模様ボーダー(Celtic knotwork-style border)はおそらくオロンス自身によってデザインされたもの。

Orontii Quadrans Astrolabicus Omnibus
http://www.fromoldbooks.org/Butsch-RenaissanceOrnament-VolII/pages/006-celtic-knotwork-border/
シモン・ド・コリーヌはフランス・ルネサンス初期の出版人である。一五二〇年から四六年にかけてジョフロワ・トーリ(Geoffroy Tory、文法家、彫刻師、書体デザイナー)、オロンス・フィーヌ(Oronce Fine)そしてクロード・ガラモン(Claude Garamond、フランスの活字デザインを基礎付けた彫刻職人、ガラモンド)らとともにパリで活動した。十五世紀ヴェネチアの有名な出版人アルドゥス・マヌティウス(Aldus Manutius)を真似て、学生向けに古典作品のポケット版を出版し、フランスにイタリック体や草書体を普及させた。(以上はおおよそフランスのウィキによる)