「世界探検家 菅野力夫 第一回海外踏破実況」(日本力行会、東京市小石川区林町七十番地)。数年前にある古書目録から入手した。袋のなかには九枚入っていたが、二枚だけ紙が白っぽいので、別のヴァージョンがまぎれこんだ可能性もある。ターバン姿の絵葉書は一枚だけ別に入手したもの。謎の探検家だとされていた菅野力夫も最近は急速に研究が進んでいるようだ。
菅野力夫研究会
http://tankenka.j-wak.com/index.html
このサイトに「第一回海外踏破実況」の袋が出ているが、それは上の袋とは若干デザインが異なる。また、研究会の略年譜によれば、菅野が第一回の探検に出かけたのは大正二年から三年にかけてである。肖像写真のバックグラウンドには
《萬里遠征ノ雄心歇ミ難ク明治四十四年九月母国ヲ辞シ南満、朝鮮、台湾、南清ノ実情ヲ察シ進ンデ新嘉坡ニ上陸馬来半島ヲ縦断シ「スマトラ」ヲ一週シテ遠ク「ビルマ」ニ渡リ更ニ印度ニ入リ幽玄「ヒマラヤ」ノ高嶺ヲ踏破シ西蔵ノ国境ヲ窺フ駱駝ノ背上「ダール」ノ沙漠ヲ横断シ「ベルヂスタン」「アフガニスタン」ヲ経テ亜細亜土耳古ニ向フノ途次彼斯ニ於テ軍事探偵ノ嫌疑ニヨリ官憲ノ護送スル所トナリ孟買ニ至リ之ヲ以テ第一回ノ宿図ヲ遂ゲ大正三年二月帰朝ス》
と印刷されているものの、略年譜を見ると、明治四十四年に頭山満に従って上海へ渡り(書生をしていた)、一旦、四十五年には長崎にもどり、大正二年一月に鹿児島へ行っているようだ。そして二月になってから世界探検に出発した。といっても、なんとなく探検ではないように思われるのだが、探検じゃなきゃ何なんだと言われれば、やはり探検なのかもしれない(チラッと世界中をまわって自己流のダンスをする YouTube で人気の青年を連想した)。
絵葉書は講演会の折りに販売されたものという。細馬宏通さんのサイトにも菅野力夫が登場しているのでチェックされたし。明日は細馬さんとのトークにより更新はお休みします。
絵葉書趣味
http://www.12kai.com/pc/index.html
世界探検家菅野力夫の謎
http://www.12kai.com/pc/sugano.html
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細馬宏通×林哲夫「絵葉書」談義
◉9月25日(土)13:00〜
高麗美術館 Koryomuseum of Art
所在地京都市北区紫竹上岸町15
TEL075-491-1192
FAX075-495-3718
http://www.koryomuseum.or.jp/