
『昭和三十一年十月現在岩波文庫解説目録』(岩波書店)。下鴨の百円均一で、扉野氏が「これ、いります? 林さん向きかと思って」と言いながら手渡してくれた一冊。何が小生向きなのかなあといぶかりつつもらって帰った。今、ゆっくり開いてみると、出るわ出るわ、いろいろな挟みコミ。たしかに『古本デッサン帳』(青弓社、二〇〇一年)にそんなこと書いた。

旧蔵者は篆刻の趣味があったのだろう、読了した(?)タイトルのところに自刻(?)印を押してある。ざっと数えると七十三になる。しかも和漢の古典が中心だ。仏教書も軒並み制覇。ひょっとしてお坊さんか(まさか、坊さんが仏教書なんか読むはずないよ)。小説や海外作品はほとんど読んでいない(といってもゼロではない)。

そして表紙を開けたところに挟まれていた新聞の切抜き。「古本街」というコラム。ふむふむ。

それから篆刻の作品。たいした腕前ではないようだ。読めない。姪芳、胡印□錦、□魚、雲鸚、豊鱗……?(正解はコメント欄を参照されたい)

そしてレシート(大阪そごう)、「信長キ/太閤キ」の鉛筆書きあり。注文票には『道元禅師清規』品切当分再版見込なし、高槻市翁書店、注文主は中□様などとある。『道元禅師清規』は一九四一年初版で四二年二刷、一九八七年にリクエスト復刊されている。九七年四刷、二〇〇五年五刷。この『道元禅師清規』の刷り増しには唸る。