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自己陶酔![]() 園頼三[詩]+船川未乾[画]『自己陶酔』(表現社、一九一九年八月一日)より船川未乾の自画像。これは『書影でたどる関西の出版100』に宮内淳子さんが執筆された記事の図版である。 先だって百円で『洛味』第二四七集(洛味社、一九七三年四月一日)を求めたところ園頼三(一八九一〜一九七三)の追悼記事が載っていた。同志社の初期の教え子手塚竜麿「園頼三先生の思い出」と同じく児玉実用「安南写「松竹梅」の茶碗」。 児玉は大正十三年に旧制同志社大学予科一年のときに園を初めて知った。 《先生享年八十一歳。ご出身は滋賀。京都帝国大学を卒業されて後、大正八年以来四十余年の長きにわたって同志社大学教授。定年ご退職と共に名誉教授となられ、松山東雲短大教授。数年の後以来、ずっと帝塚山学院大学の教授であられた。》 英文科に進んで雑誌『同志社文学』の編集を担当するようになって個人的に接する機会が多くなり、園が詩人だったことを知った。 《しかし先生の詩集「自己陶酔」や「蒼空」は、名のみ知って、実物はついぞ知らないままである。そういえば「芸術創作の心理」もしらない。 「怪奇美の誕生」が出たのは昭和二年である。グロテスクの美学に関する著書としては、わが国でもこれは非常に早期のものではないだろうか。》 手塚によれば園が南禅寺北ノ坊の家をたたんでヨーロッパへ出かけたのは大正十一年春。私費留学で、二年余の滞在だった。往復とも神戸港で送迎したという。帰国後は一条通り紙屋川の西、椿寺の近くの平家に住んだ。周囲はたんぼだった。その後結婚して鹿ヶ谷へ転居する。 《今のような電車の便がなかったから、熊野神社で市電を降り、そこからてくてくと真如堂の山を越え、疏水をわたって、鹿ヶ谷のあのモダンなお宅まで)三日にあげず訪ねては色んな示唆を受けた。》《そうした間に先生とは非常に親しくなり、先生の親友画伯故船川未乾氏邸へ連れて行って下さったこともあり、またこちらからピクニックや会食に、よく先生を引っぱり出した。》(児玉) 園と船川そして竹内勝太郎の交遊については宮内女史がこう書いておられる。 《当時、浄土寺南田町に住んでいた竹内が、園の『怪奇美の誕生』(創元社、昭和二年)出版記念会の案内を、創元社の矢部良策に頼まれて鹿ケ谷の園宅まで手渡しに行ったりしている。二人は、深い親交を結んでいたのである。》《『怪奇美の誕生』の「あとがき」には、「君は、たどたどしい私の魂の歩みを、絶えず温かい友情を以つて見守つてくれた人だ」という園から船川への謝辞がある。》 『怪奇美の誕生』についてもうひとつ手塚がこんなことを書いている。 《園先生の葬儀に出席できなかったのは残念だが、暮れに病院で温かい手を握りあえたのはせめてものなぐさめである。その時申しあげるのを失念したが、先生の手許にも残っていない名著「怪奇美の誕生」を昨年夏、古書店の目録でみつけ、申し込んで三回ぶりでクジにあたり入手した。それだけは伝えたかった。》《先生が探し求めておられた小島烏水の「日本山水論」を遂にお手許にお届け出来なかったことも心のこりである。》 今なら『怪奇美の誕生』も『日本山水論』も「日本の古本屋」ですぐに手に入るから、この点はやはり便利な世の中になったと言っていいのだろう。ただし『自己陶酔』や『蒼空』は容易に見つかりそうもない。『書影でたどる関西の出版100』で書影だけでも楽しんでいただきたい(宣伝でした)。 ![]()
by sumus_co
| 2010-07-29 21:38
| 京のお茶漬け
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