
左はカール・フロレンツと大村仁太郎『独文階梯』(独逸語学雑誌社、一九一一年十六版)。フロレンツは一八八八年に来日して東京帝大でドイツ語と言語学を教授した。一九一四年に帰国、ハンブルグ大学に日本学科を創設し『古事記』『日本書紀』をドイツ語に飜訳したそうだ。独逸語学雑誌社は明治三十年代から明治末ごろまでの出版物が確認できる。その名のごとくドイツ語関係の本ばかり。
これは以前から持っていたが、本日、わが家からいちばん近い某古本店で右の『ボツク第一読本』(六合館、一八九八年)を求めた。100円。ボツクは Eduard Bock のようだが、独文タイトルは『Ferdinand Kirts Deutsches Lesebuch』。六合館(りくごうかん)は明治十年代から大正末頃まで活動したようで、語学に限らず実用書などを手広く出版していたようだ。この本は元本をそのまま複写したらしい。リトグラフのような印刷に見える。粗いコピーに似ている。この時期の国定教科書なども同種の印刷である。挿絵がたくさん入っていて、なかなか精巧な図である。
下は『独文階梯』の凡例。この組版は面白い。左開きで縦書き、しかも左から右へ読み進むのだが、項目ごとには右から左へ読むという混乱というか苦心がうかがえる。