トポール『マゾヒストたち』(澁澤龍彦編、薔薇十字社、一九七二年八月一〇日、装釘=堀内誠一)。これは元版の『Les Masochistes』(collection Second Degré, Editions Eric Losfeld/Le Terrain vague, 1960)に加えて「トポール傑作選」と題した図版が挿入されており、簡単なトポール入門になっている。
ステルンベールの序文には
先日少しだけ触れたトポールがジャン=ジャック・ポヴェールに売り込みに来たときの様子が回想されている。
《ポーヴェールは巨大な一冊の出納簿を持ってきたが、それは拡げると、テーブルからはみ出すほどの大きさだった。私は拡げる前から、もう胸がむかむかしていた。それはシネ風の絵で、やはりいざりや、将軍や、司祭や、警官ばかり出てくるのだった。
トポールの最初の絵が、私の顔の前で爆発した。私は自分がまだ何らかの驚きを感じ得るということに十分驚きを感じた。決して腰をかけたことのない私が椅子を引き寄せていた。そうして私は少なくとも一時間、トポールの画集を次々にぱらぱらめくって過したのである。》(澁澤龍彦訳)
そしてシネによって開拓しつくされたと思われた残酷のカタログをトポールはさらに限界まで押し拡げたとステルンベールは書いている。

面白いのは澁澤龍彦の「あとがき」で、誰彼なしにこの漫画集(元版の)を見せてどれがいちばん衝撃的かを尋ねて楽しんでいたということが述べられている。堀内誠一は頭の骨を露出させブラシでゴシゴシ磨いている男。巌谷國士は目玉を取り出してその目玉と眼窩の間に張った糸を弓で弾く男。野中ユリはラッパの口から内蔵を出している男……などなど。そして澁澤龍彦自身は、
《巨大な大根おろしのような器具で、自分の顔をすりおろしている男の絵である。これはもう、想像しただけでも身慄いが出そうである。》
というのだからナルシスト澁澤の面目躍如ではないか。
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目録を送るから住所を書けと
アヴニュー書店 Librairie de L'Avenue のおねえさんに求められたのだが、本当に送ってくるとは思いもしなかった。収録400点で多くが絵入り本か美術書のカタログである。

キルヒャー(Athanasius Kircher)の『Arca Noë』(Jansson, 1675)が10000ユーロ、同『China Monumentis』(Jacob Meursius, 1667)5200ユーロというのが目立つ。近現代ではブルトンらの『Young Cherry Trees Secured Against Hares』(View Editions, 1946)400ユーロに目が留った。ブルトンの顔が自由の女神の顔になっている表紙。
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かつて物議をかもした奈良遷都1300年祭キャラクター「せんとくん」の人気が急上昇しているそうだ。グッズや土産物もたくさんできて良く売れているらしい。店のおばさんが「奈良いうたら鹿と大仏しかなかったですから」と新しいスターの出現を歓迎していたが、「せんとくん」って鹿と大仏を合体させたキャラじゃなかったかな(?)。