題 名=ママの話
発 行=昭和51年6月5日再版[昭和51年5月2日初版]
著 者=宇野千代
発行者=高梨茂
印刷者=株式会社精興社
発行所=中央公論社
装 幀=青山二郎
タテ=196mm
宇野千代得意の聞書き小説。これがどこまで本当か、前にも読んでいたのだが、また読み出すと面白くてやめられない。陸軍中尉の妻が戦後の裸一貫から成り上がって行く浮沈を描いている。赤坂に土地を見つけ「石田五六七」という建築家に二間の料理屋を建ててもらってそれが大当たりする、ところが土地を返せと迫られ、高利貸しが逮捕されて借金がなくなり、そのために土地を自分のものにでき、それからはどんどん手を拡げて行く……。
あるときは津田順吉という小説家に紹介されて美容院を買う。
《『アルカディア』の二階の『雪』に、ほら、あの、津田順吉と言ふ小説家が来てゐたのですが、その津田さんが或る日、『ママ、金があるかい、』と言つて、この店を世話してくれたのです。美容師も二三人、つれて来てくれました。何の意味か分かりませんが、フランス語なのでせう、『セゾン』と言ふ名前をつけてくれました。》
「石田五六七」は吉田五十八だろうが、「津田順吉」は?
このママは宇野千代と麻雀をするときにも点棒の勘定ができず、両手を拡げて指で数えたそうだから、世の中計算じゃない。
《装幀 青山二郎》となっており、そしてまだ存命だったが、どうも青山はジャケットと扉の絵(同じ図柄)を提供しただけかもしれない。